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《ETAJIMA Fan Info》
筧本回漕店は,切串港(吹越桟橋)に発着する定期航路船の切符販売と,カキや柑橘などの特産物販売を請負う委託販売所。回漕店とは,江戸時代から使われた船問屋の別称だ。(海運業のほかに,現在では総合物流など幅広く展開する事業者もあり,形態はさまざま)
「うちは,100年くらい前,曾祖父の頃から,やってたみたいですね。船の発着に関わる仕事がメインで,十数年前から特産品の委託販売も始めました」
その後,祖父,父へと代がかわり,今は筧本さんご家族で経営。乗船切符販売や港の管理,地元産品の委託販売など,主に従事されているのは,子の筧本語(といもとかたる)さん。2019年4月からは江田島市観光アシスタント「江田島さくらプリンス」としても活動中。ひろしまフラワーフェスティバルで「新時代に届け!フラワーファンファーレ号」花車に,他の市町のプリンセスたちと乗り,会場を盛りあげた。
(花車での写真は江田島市フェイスブックから。左:筧本さん,右:さくらプリンセス・牧野里穂さん)
筧本回漕店で勤務の合間に,今回は取材させていただいた。
実際にお会いすると,さくらプリンスで活動中の写真よりも,細身で引き締まった印象を受けた。
(右手には,切串港の海の駅長・ニホンイシガメの「おはぎちゃん」と一緒に。別ポーズもいただいた)
「友達からは『え,プリンス?キングじゃないの?』と言われるんですよ」と笑う筧本さん。さくらプリンス・プリンセスでは初のアラフォー採用とのことだが,そうと感じさせない若々しさと笑顔が魅力的だ。
そんな筧本さんの普段の姿がよくわかる絵が,港の待合室に飾られている。
暑いなか,さくら海運の制服を着て仕事に励む姿が,フェリーとともに描かれたものだ。
絵の右下のふせんには,「小学生のお客様より」と書かれている。
「もらったのは小学生低学年の女の子で,もう引っ越してしまったんですが,今は小学5,6年生になってますかね」と筧本さん。
筧本さんの髪型や,人の心に残る笑顔。雰囲気と特徴がうまく描かれた作品だ。子供の心にもそれらが伝わっているのだろう。
「おかしのじどうはんばいきありがとう」とは,港の外に,お菓子の自動販売機が設置されたときに,描いて持ってきてくれたのだそう。
待合室に貼られている,こちらの応援チラシ。筧本さんの親戚・筧本翔昴さんは,バレーボールJTサンダーズに所属。今も現役で活躍されている。
アスリートに観光アシスタントと,お二人揃っての俊才だ。
ここからは,筧本回漕店の名物を紹介していこう。
ひとつめは,記事の最初に筧本さんと一緒に登場した,ニホンイシガメの「おはぎちゃん」。この待合室の一角で,港に来られるお客さんを見守っている。名前の由来は「小さい時にうずくまっていた様子が,おはぎのようだったから」。筧本さんが名付け親だ。
「以前,広島港からの便があった頃(現在は呉ポートピアとの便のみ)の話ですが。広島行きの旅客船発着の間に船員さんが “海にカメが泳いどる”って教えてくれたんですよ」
筧本さんは,バケツで海面をすくって,カメを助けた。見ると,左後脚と尾を怪我しており,しばらくは怯えて,うずくまった状態が続いた。その姿から連想した名前で,おはぎちゃんになった。
おはぎのように小ぶりな体が,4年ほど経った今では,片手で支えるほどの大きさに成長した。尾にだけ若干の名残はあるが,見た目には分からないまでに完治した。
カメラを向けると,おはぎちゃんは,こちらに目をやり,ぐぐっとその後脚を伸ばしてみせた。飼い主の筧本さんと同じく,そのサービス精神に驚かされる。
筧本回漕店ふたつめの名物は,「おかしのじどうはんばいきありがとう」の絵に出てくる自動販売機。
外にある2台の販売機のうち1台は,パンと菓子の自販機。ジュースの自販機は当たり付きで110円から。
また,ジュース自販機には昨年秋から今年の冬にかけて,秋葉原名物おでん缶が登場した。選定はもちろん筧本さん。(下の,おでん缶写真は筧本回漕店フェイスブックより)
今回取材の7月には,おでん缶は終了していたが,この夏,新たに月桂冠の冷やし甘酒が登場!
こてんぐおでん缶,月桂冠冷やし甘酒選定の理由は「よそではなかなか見かけないものを入れてみた」のだとか。
港を利用する人を楽しませたい,筧本さんのさりげない気遣いが感じられる。
そして筧本回漕店の最大の名物は,自販機横で不定期に開催する,地元産品の販売だ。
今年の夏も,盆灯篭の販売が始まっていた。広島のお盆には欠かせない,浄土真宗安芸門徒の風習で,お盆の時期にお墓に飾る。初盆は白紙,以降は赤や黄,青などカラフルな色紙や飾りが使われる。
冬場は江田島産カキ(むき身,殻付き各1000円),ミカン,キウイなど,地元生産者からの新鮮な農水産物が並ぶ。お手頃な値段,産地直送の販売は,入荷すると20袋が半日で完売するミカンなど,根強いファンが多い。
(写真のむき身,殻付きは今年冬のときの分量です)
本邦初公開,筧本回漕店自販機横の,地元産品の販売スケジュールはこちら!
筧本回漕店江田島産品年間販売スケジュール(0.11MB)
(※取材時点の2019年7月の情報です。購入時の目安にお使いください。なお,最新情報はページ末の電話番号まで直接お問い合わせください)
筧本回漕店の主な業務は,港に発着する定期航路船の切符販売だ。「知ってる人がいま来てるので,よかったら撮影されますか?」と筧本さんに案内いただき,常連のお客さんへの切符販売中におじゃました。
呉と江田島・切串を行きかうフェリーは,市民にとって,なくてはならない公共交通のひとつだ。
(写真左側が筧本さん。呉側へ渡る常連のお客さん(写真右)との会話も弾み,自然と笑みがこぼれる)
クレアラインに近い呉側をつなぐ海路は,企業を中心に,常連の利用が多い。
降りてくる利用客のなかに,呉側から帰ってきた制服姿の学生を見つけ,「おかえり!」と気軽に声をかける筧本さん。江田島ならではの,温かい心の交流がここにある。
仕事の合間に,フェリー乗務員の方々と写真を撮らせていただいた。親切で,笑顔が素敵な人ばかりだ。
筧本さんの行く先々には笑いが絶えない。ムードメーカーとしての才能が,きらりと光る。
フェリーが離岸した後は,すぐに次の便の時刻表示に掛け替える。次回便待ちの車もほどなく到着し,炎天下のなかで仕事は続く。
そんな筧本さんは,多忙な合間をぬって,江田島の今の様子を動画で伝えている。パロディから時事ネタまで多彩なコンテンツで人気だ。
江田島のユーチューバー「かたるんるん」として名を馳せる。以前からフェイスブックなどのSNSで動画を投稿していたところ,知人からの評判が良いので本格的に始めたのだとか。
(※写真は撮影風景のイメージで,普段は勤務中に動画撮影をされているわけではありません)
スマホをスタンドに固定し,市内某所から全世界のフォロワーに向けて,かたるんるんチャンネル放送!
動画撮影の裏側を激写した,かたるんるんファンにはたまらない,貴重なワンシーンだ。
最後に,江田島ファンネットをご覧になる方へのメッセージを,筧本さんからいただいた。
「来年はオリンピック。海外から来られる方も多いでしょう。日本への観光で『おすすめの場所は?』と聞かれたらぜひ,江田島を紹介してほしいですね!カキの出荷量も日本一で,おいしいし。山と海に囲まれた,豊かな自然,多島美を堪能してもらえれば」
江田島の魅力のひとつである夕景の動画(かたるんるんチャンネル)
【絶景】THE切串遺産 https://www.youtube.com/watch?v=SKIeheVgYg8
※かたるんるんチャンネルでは,筧本回漕店に入荷したばかりの地元産品紹介も行っているので,見逃しのないようにチャンネル登録をおすすめしたい。
【店舗情報】筧本回漕店
住所:〒737-2111 江田島市江田島町切串1-1-19
電話番号:0823-43-0102
営業時間: 5:30~21:30(年中無休)
駐車場:普通車で28台
SNSアカウント:
・フェイスブック「筧本回漕店」
https://www.facebook.com/toimotokaisouten/
・YouTube「かたるんるんチャンネル」
https://www.youtube.com/channel/UC_H1zzi0XV0kpAejKJLHzGA/featured
・インスタグラム
「さくらプリンス」https://www.instagram.com/etajimasakuraprince/
「かたるんるん(※個人アカウント)」https://www.instagram.com/katarunrun/
アクセスについて
切串には港が2つあり,筧本回漕店は,天応(呉ポートピア)間航路の吹越桟橋側にある。
1)もうひとつの切串港・西沖桟橋(以下,切串港西沖。宇品港行き)方面から来る場合
切串港西沖港の前の,県道287号線から国道487号線へ進み,
切串小学校を過ぎて,黄色標識のところで右折。
青の案内標識が見えたら左折。
交差点から先は,狭い道が続きます。
フェリー到着直後の時間帯は,対向車が多くなるので注意です。
しばらく道なりに進むと,吹越桟橋・筧本回漕店です。
2)小用・大柿・呉方面から来る場合
国道487号線を上へと進み,ENEOS切串サービスステーションを過ぎて,
青の案内標識で右折。交差点から先は同じです。
(2019年7月取材)