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《ETAJIMA Fan Info》
お待たせしました!日本全国150超の島々が集まる祭典「アイランダー2024」、今年も開催です!
「島と都市」、「島と島」をつなぐ交流イベント「アイランダー」は今年で32回目。島の魅力を体験できる、年に一度の「島の祭典」として親しまれています。
島の人・文化・食といった、島の魅力を感じられるアイランダーへぜひお越しください!
江田島市のブースでは、島の紹介や移住相談、特産品をご用意して、池袋サンシャインシティで皆さまのお越しをお待ちしています。
江田島市をはじめ、全国の島々と直に交流できるこの機会をお見逃しなく!
【開催概要】
日時:11月16日(土)10:00~18:00
11月17日(日)10:00~17:00
会場:池袋サンシャインシティ文化会館ビル2階 展示ホールD
(東京都豊島区東池袋3丁目1)
入場:無料
▼イベント詳細はこちらをご覧ください
公式ホームページ
大柿町大原にある喫茶ルナ。この地に店を構えて50数年、大柿公民館(現在は大柿市民センター)があった頃から営業しています。
高齢者を中心に地元に愛されている……だけではなく、子育て中のお母さんや、工事帰りの作業者の方など、実に多くのお客さんで賑わっています。
平日午前に伺うと、これから昼の仕込みをはじめるそうで、とても多忙のところをおじゃましました。
人気の日替わりランチは11時半から。数は決まってないのですが、無くなり次第終了とのこと。
昔ながらの喫茶の佇まいはそのまま。室内を見渡すだけで心が落ち着きます。
柔らかい光が差しこむ、趣のあるテーブル。失われつつある昭和の風情が、今も残っています。
今日の日替わりランチ(税込800円)、ボリュームと品数にびっくり!
ごはんもたっぷり、おかずも大満足でどれも体に良いものばかり。この量でこの価格とは安すぎる……!
デミグラスソースハンバーグ、ポテトサラダ、新鮮野菜。そして小鉢もこんなに!
どれをとってもお得なおいしさとしか表現できません……。ごちそうさまでした。おいしかったです!
店内を見ると、今は使われていない業務用ゲーム機が2機種も。昭和の時代、テーブル筐体(きょうたい)はバッティングセンターや喫茶店などで人気がありました。
ダイナックス(当時のゲームブランド)で製造・販売された「ねるとん牌鯨団」と「華折鶴」。
「ねるとん牌鯨団」は1990年頃、「華折鶴」は80年末頃のゲーム機です。
本体は稼働していませんが、今なお綺麗な状態でテーブルとして使われていることが実に貴重です。
「来られたお客さんの中にも撮っていく方がおられて……」と、お店の方からの談。知る人ぞ知る大柿町、江田島市の人気スポットとなっています。
昔からの変わらぬ佇まいと味を求めて、江田島市に来られたときにはぜひ、出かけてみてはどうでしょうか。
(取材・記事作成:2024年9月)
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【店舗情報】
喫茶ルナ
住所:〒737-2213 江田島市大柿町大原529−1
電話番号:(0823)57-5684
営業時間:午前7時30分~午後10時(閉店時間は変わります。夏場は昼食後から2時間程度閉店の場合有)
店休日:不定休、年末年始、お盆(カレンダーで前後の場合有)
※だいたい開店していますが、詳細は店舗までお問い合わせください。
大柿町大原にあるコンビニエンスヤマノイ。この地に店を構えて40数年。高齢者を中心に地元に愛されている。
店はご夫婦で営業。食料品や日用品の他に衣料品も揃える。高齢のご婦人向け衣料品が近くに無く、奥さんが仕入れている。店に来られる方に合わせ、サイズの希望や、派手なのは置かないなどの制約もあるそう。
お店自慢の鮮魚は、月・火・木曜日に市外から、ご主人が魚介類を仕入れる。その日のうちに新鮮な地物が、切り身、冷凍、骨なしフライ用など豊富な品揃えで並ぶ。刺身がいつもより安いサービスデーもあり、こまめにチェックがおすすめ。
昔は個人の鮮魚店も多かった大柿町。高齢化が進み、食生活の変化、大型量販店の台頭などで、古くからの鮮魚店は激減した。お手頃価格で鮮度のいい魚が買える店は、貴重な存在となっている。
輸入ものが多いなか、地物芝エビが入るとは嬉しい限り。
主力の魚を中心に、野菜や日用品なども揃う。時期によっては安浦産の小芋のように、旬の野菜も入荷する。
2週間に1回、大柿町の大原地区で折り込み広告が入る。魚のほかにドリンクなどの特売情報もあるので見逃せない。(チラシは6月撮影分)
ご主人に、昭和の時代から今の令和までの様子を伺った。
神戸市出身のご主人は、父の帰郷を機に大柿町へ。高校、大学の学生時代は島外で学んだ。
勤め人の父が跡取りで帰郷後、60年代に店を始めた。その後、他業種を経て、ご主人が80年代に店を継ぎ、今の場所で営業を続けている。
地元の鮮魚店が減り、仕入れ先の市場に行けば、漁師の高齢化による漁獲量の減少も耳にする。
店を利用する方は地元の高齢者が中心で、取り置きや配達も多い。
そのため、高齢の利用者で定期的に来られる方は、見守りの代わりにもなっているとご主人は話す。
いつもの時間になって来られない様子から「何かあったのでは?」と思い、人づてに連絡するケースもあった。
また、市外から一人暮らしの高齢者を介護するのに、家が狭くて寝泊まりできず、家賃だけ払ってアパートに住む人もいるという。
店舗後方は現在コインランドリーとなっているが、以前は2階にレンタルビデオ店があった。「太郎と花子」の名前はレンタルビデオ店から続いている。
ちなみにご主人が好きな映画作品は「ひまわり」。中学、高校時代中心に年間で5、60本も映画を見ていたほどの映画通だった。
ストアをご主人が継いだ5年後頃にレンタルビデオ店を開始。営業は20数年ほど続いた。
営業当初は日本の任侠ものや、金曜日の妻などのトレンディドラマのビデオが好調だった。
島内沿岸部には能美町鹿川など石油タンクがあり、昔は関西から日数をかけてタンカーで運ぶ人たちからも利用があったと話す。
ビデオからDVDに変わった後には韓国ドラマも流行り、利用者のテレビシリーズの要望から店でも揃えた。中には50巻ほど続くタイトルがあり、元が取りにくかったという。
やがてネット映画などの普及にともない、レンタル利用者が減少。レンタルビデオ店は10数年前に閉店した。
レンタルビデオ「太郎と花子」と言えば、今でも覚えてくれる人がいる。
当初は、2階で店舗を開くことに心配する人もおられたそう。
しかし実際に営業してみると、2階にある店舗が島内には無く、見晴らしのよさからも好評だった。
営業の常識で考えると2階店舗は儲けが生み出しにくいが、やって考えるという時代でもあり、面白かったとご主人は当時を振り返る。
古いお客さんといろんなところで会うときに「レンタルビデオ店に行ってました」という話が出る。
しかしレンタル店が終わった時点から既に縁が切れた人は、覚えてない人も多く、声をかけられても申しわけないそうだ。
あの頃はご主人も若く、20年くらい経っていると、特に女性の方は大きく変わるので記憶が一致しないと苦笑する。「すぐわかりませんね、ごめんなさい」って。
また、市外へ出て長いと方言も消え、本人が広い世間と関わるうちに言葉も変わってくる。戻ってきた方にはそういう人が多いとご主人は語る。
江田島市や隣の呉市で、シタビラメの一種の方言「でんちょう」。唐揚げでこの価格で食べられるのはヤマノイならでは。
江田島市へ帰郷の際は、懐かしい話を咲かせに、訪れてみてはどうでしょうか。
(取材:2024年6、8月・記事作成:9月)
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【店舗情報】
コンビニエンスヤマノイ
住所:〒737-2213 江田島市大柿町大原1281
営業時間:午前8時~午後7時
店休日:土・日曜日、年末年始、お盆3日間程度(カレンダーで前後の場合有)
2023年12月、江田島図書館の敷地内に、ミュージシャン浜田省吾さんが座ったベンチと当時のバス停の様子が、江田島市により再現されました。
小・中学校時代を江田島町で過ごした浜田さん。1992年に浜田さんが当時の「山田バス停」に来て座ったベンチは、バス停が取り壊された後も地元ファンにより、江田島図書館の中庭に移設・展示。以後、全国各地から浜田省吾さんのファンが訪れる聖地となりました。
今回の、ゆかりのバス停整備はベンチだけでなく、昭和から平成にかけて人々に親しまれた山田バス停の様子も再現。
当時の掲載メディアなどのパネル設置や、ベンチ保存から続いてきた来訪者記念ノートも引き継がれ、ベンチに腰掛けた浜田さんになりきれるサングラスまで用意されています。
▲以前、江田島ファンネットで紹介した 小松商店さんも手作りサンドイッチの店として営業中です!
ファンの方には聖地として。通勤通学や買い物など、かつてこのバス停を利用していた地元の方にとっては、懐かしい時代を感じられる、広い世代から愛される場所として、記念写真を撮るのにも絶好のスポットです。
まだの方はぜひ、休日を利用してこの江田島市へ、訪れてみてはいかがでしょうか。
ゆかりのバス停復元からこの春までの間に、何と1000人ほどの方が訪れたとか。浜田さんのファンのみならず、地元のご年配の方からは、昔のバス停を再現したこの場所に「懐かしい」と来られる方もおられたそう。
取材日(2024年4月)に、県外からの旅行で広島に来られた方からお話を伺う事が出来ました。
「場所は知ってたけど来たのは初めて。ここへ来た途端に涙がでそうになった」とその感動を語っていただきました。
訪れたこの時期は、バス停の静謐な雰囲気に、落葉のじゅうたんが味わいを添え、時間が止まったかのような空間がありました。
また、一度だけの訪問で終わらず、リピーターの方も結構おられるそうで、それもまたこの場所が持つ魅力なのかもしれません。
▼図書館内も入口そばに関連書籍やCDなど特設ブースを設置。
また、4月27日には、展示スペースを更に拡張し、リニューアルオープン。
貴重なグッズ・ポスターを展示しており、ファン必見のスペースとなっています。
5月6日には初めてのファンイベントを開催。
江田島市内外から大勢のファンの方で賑わいました。
「初恋のきた島」江田島は、ますます盛り上がりを見せそうです。
【施設情報】
江田島市立江田島図書館
〒737-2133 江田島町鷲部2丁目13番1号
外部リンク: 江田島市立図書館ホームページ
江田島市内にあるお好み屋さん。地元の常連客を中心に賑わうが、裏メニューでランチや弁当も提供する。
量を作らないので「あればラッキー」くらいに思ってもらえれば、と店主の談。
昼前の来客に合わせて盛り付けている傍ら、お話を伺った。
▲スパサラとキャベツ㊤、ホウレンソウのごまあえ㊦。見ただけでおいしさが伝わるものばかり
「野菜を食べてもらうのが一番のメイン」と語る。野菜料理が好きで、なるべく地物を使っている。どうしても肉が主役にはなるが、サラダなどの副菜には野菜を使う。
「料理を作るのが好きで。誰かが食べてくれるのを見るのが、すごく幸せ。見ていると楽しいって思うんです」
料理を作るのが趣味だよねと、人から言われることもある。冷蔵庫を開けて材料を見ると、つい作っているのだとか。「作ることが、自分のご機嫌をとることにもつながる」と笑う。
地元常連客の他にも、関東から帰省して家族と訪れたりする方もおられるほどの人気ぶり。
本当に嬉しそうに話す店主を見ていると、みんなが来たくなる店とは、こういうところなのだと気づかされる。
▲お話しているときの表情が本当に素敵で、楽しいひとときを過ごさせていただきました
▲お手頃価格のお好み焼き。材料からメニューを考えるランチに比べて「自分の中では仕事」と捉えているそう。
▲この日のランチは、ふっくら衣のアツアツとり天。目の前にして食欲を抑えるのがもう無理!
▲木のぬくもりを活かした明るい店内。卓上のアジサイにも店主のもてなしを感じます
「ゆるい感じで、あまりぎゅうぎゅうにしないで、臨機応変って感じで」。印象に残った店主の言葉。
決まったメニューを機械のように迅速に出すことだけが繁盛店ではないと、ハッとさせられる。
店主の作る料理を楽しみに来るお客さん。店主とお客さんとの信頼関係あってこその、通い続ける理由。
訪れて良かったと思えるお店でした。
(※店主から掲載の意向を伺い、店舗所在地などは記しませんが、江田島市内を回っていると、いつか出会えるかもしれません)
取材・記事作成:2024年5月
県道44号江田島大柿線,江田島バス停留所「山田」からすぐの場所――。
午前5時半。店の近くにヤマザキパンのトラックが停まり,荷下ろしが始まります。
昭和50年からヤマザキパンを販売する小松商店。店主の君枝さん,姉の千鶴子さんで営んでいます。
通勤通学などで車やバスに乗り,車窓からこの店舗を見かけた方も多いことでしょう。
コンビニ以外でこの時間から開いている店自体,江田島市内ではかなり珍しいです。
共同作業の仕込みは3時から。朝6時の開店に合わせて調理中のところを,取材させていただきました。
店内厨房で,名物の手作りサンドイッチを40余年,作り続けています。
「揃えて切るのもコツがいるんよ」と,千鶴子さん。具材を詰めて素早く形を整え,次々と出来上がっていきます。ベストショットを撮るのが追いつかない手際の良さにびっくり。熟練の技が光ります。
包装もすべて手作業!ボリュームたっぷりのサンドイッチが,きれいに収まっていきます。
定番のハムサンドやエッグツナから,北海道男爵コロッケサンド,本格合挽メンチカツサンドたまごまで,バラエティ豊かなサンドイッチが毎日,早朝から10数種類も並びます!
ショーケースいっぱいに,こんなに種類があったとは……!と,圧巻の一言に尽きます。
(※ショーケースは2022年11月撮影時の様子で,2023年2月再訪時には新型ショーケースに更新されていました)
開店前に全部作って終わりではなく,補充でまた追加分を作ることもあるとのこと。
全品制覇したい!と買いまくっても,後から来た人が困ることもなさそうですね。
カツやフライのサンドには,たっぷりのレタス。シャキシャキ食感と栄養のバランスが嬉しいです。
ひときわ存在感を放つ,ボリューム揃いの最下段。
昨今の材料費高騰のなかで,このサービスぶり。本当に頭が下がります。
まさにサンドイッチの小宇宙,たまごハムサンド(税込290円)。
やわらかい食パンに,これだけ詰めて,断面がきれいに揃っているところは,ただただ感嘆,匠の技です。
メガ盛り,インスタ映えという言葉が流行って久しいですが,小松商店のサンドイッチは,いつだって映えて,食べごたえ満点です!
ぜひ作りたてを食べていただきたい,ハムと目玉焼サンド(税込260円)。色合いと半熟加減の調和が絶品です。
出来立て,手作り,安心安全で体に良い「食」への信頼があります。
あふれるジューシーさ,収まりきらないサービスぶりは,実食で味わってください!
メガ盛りサンドから,定番ハムサンドやポテサラサンドまで,ここに来ればきっと好みの味に出会える,充実の品揃えです。
店内では野菜なども販売。江田島町は,県内最大のきゅうり産地です。
地元のとれたて素材で作るサンドイッチ。確かに,おいしいわけです。
サンドイッチが作られている間に,トラックで到着した食品を,次々に検品する君枝さん。値札も一つずつ,貼っていきます。
入荷品の陳列など,朝の作業が続くなか,その間にもひとり,またひとりと,なじみのお客さんが訪れます。
お互いを気遣う短い会話が済むと,また次のお客さんが声をかけて――。
昭和の頃から変わらない,人と人との温もりが,令和のいまも息づいていました。
長く地元に愛される,小松商店の一日が,こうして賑やかに始まっていきます。
(取材:2022年11月,記事作成:2022年12月)
この続きは後編でご覧ください!→「江田島町中央 小松商店(後編)~小松商店今昔~」
昭和10年代開業、小松商店の歴史を辿ります。
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【店舗情報】
小松商店(ヤマザキYショップ)
住所:〒737-2122 江田島市江田島町中央5丁目1−2
営業時間:午前6時~午後6時
年中無休
前回記事はこちら→「江田島町中央 小松商店(前編)~サンドイッチ作りから始まる早朝~」
今回記事の後編では,小松商店の歴史を辿ります。
江田島町中央にある,小松商店。
開業は昭和10年代で,当時は駄菓子や,自家製の饅頭などを売っていたそうです。お祝い事の鯛菓子や,法事の蒸し饅頭も作っていました。
現在のように,パンを取り扱うようになったのは,
小松「ヤマザキパンが広島のほうに来だして,昭和50年に,私と母とでやるようになりました。後で,姉が横須賀から帰ってきて,一緒にね」
あんぱん,メロンパンなどのロングセラーから,ニューフェイスのコンソメパンまで,豊富な品揃えです。
ヤマザキパンから手作りサンドイッチの提案があったのは昭和55,6年のこと。以来ずっと,サンドイッチを作り続けています。店の看板にある「ヤマザキYショップ」は,ヤマザキ販売店の中でも小規模店を中心に,運営をサポートする新業態として,1982年に開発されました。店内厨房で手作りサンドイッチや揚げ物などを提供するシステムもあり,小松商店では手作りサンドイッチに特化して,お店の名物となっています。
小松「長いこと,やってます。もう2人とも年を取ってしまって(笑)」
手作りサンドイッチに欠かせない,新鮮な食パン。実はサンドイッチ用だけでなく,店内で切りたてを買うこともできるんです。新しいブロック食パンを包みから開き,パンスライサーにかける君枝さん。手早いだけでなく,正確,丁寧な仕事ぶりです。
小松「「何枚で切ってください」言うたら,こうして切ってあげるんよ」
あらかじめ決まった枚数と厚みで袋詰めされた包装を,日頃見慣れていると,その場で必要な量だけこうして切ってもらえること自体,ありがたいことだと思いました。
小松「朝食のパンの配達は青木病院へ,食パンとバターロールをかわるがわるで,ずっとやっていますね。海のガーデンは,日曜日の朝だけ朝食の分に,サンドイッチを持っていってます」
店舗の周辺は,現在に至るまでに,大きく様変わりしました。
山田バス停そばの青木病院は2022年3月に大幅改装。すぐ近くのサービス付き高齢者向け住宅「海のガーデン」は2014年に建ちました。江田島中学校は2008年,3キロ弱離れた小用小学校跡地へ移りました。
小松「人は減りました。第一ここらは,若い者がおらん。昔は小学校と中学校が近くにあって。中学は土曜日の昼は弁当がないから,よく買いに来よったよね。
今は,みんなお客さんも,年寄り。じゃけん,少なくなってね」
▲信号機そばの江田島保育園は,最寄りの認定こども園えたじまへ移転統合。
山田バス停には,色褪せた古いベンチが,当時の姿のまま設置されています。
小松商店では,なかなかお店へ来られない方にも,車で配達に出かけています。
小松「一般の家庭に,毎週何軒か,姉が行くんです。週2回で,何と何がいる言うたら,持っていく。
昔は,牡蠣の加工場にも持っていったけど。打ち子さんが外国人になってきたら,パン買わなくなったんよ。
だから牡蠣のほうは辞めたんです。今は宮ノ原の住宅や,小用は家へ一軒一軒ですね」
配達は,昼の3時過ぎに出て,5時頃に帰ってきます。食パンや牛乳など,日持ちのする商品の希望が多いそうです。配達先の方々も小松さんと同じく,高齢の方が多いとのこと。お互いに助け合っているご苦労を思うと,ただただ頭が下がるばかりです。
江田島市外からはサイクリングや釣りで来る方も多いのですが,小松商店ではどうなのでしょう。
小松「この間,自転車で広島から来た男の人がね,サンドイッチ買うていって。また次に来た時も,買ってくれました。「美味しかったけえ寄りました」言うてね。嬉しいよね。またそりゃ,ありがとうございます言うたんじゃがね。ああいうことがあったわ」
食品を提供する店舗数もその種類も,広島市内は江田島とは比較にならないほど多いはず。それでも市外から来られた方が,サンドイッチで小松商店を再訪したのは,おいしさの証と言えるでしょう。
ところで,もしお店に,車で来られた場合,駐車場はあるのでしょうか。
小松「無いんですが,外の通路のところよね。あそこなら停めてもいいですよ」
※配達車の後方と電柱の間に,軽自動車1台程度なら停められる幅のスペースがあります。
ヤマザキYショップでは,サンドイッチなどの店内調理品や,ヤマザキパンの他に,オリジナル商品も見逃せません。入荷すると早々に売りきれる人気商品,ヤマザキオリジナルの豆大福が,取材日にレジ横に並びました!
「特撰 豆いっぱい大福 十勝産小豆の粒餡」(150円)。薄皮餅に入った粒餡が,ずっしり。
十勝産ならではのおいしさ,お手頃価格と食べ応えで,非常にお得感のある和菓子です。
コンビニエンスストアのデイリーヤマザキとは,名前が違う「ヤマザキYショップ」。
2022年12月時点,江田島市内で,ヤマザキYショップは小松商店1軒だけです。
山崎製パンWEBサイトの「企業情報・沿革」によると,広島工場竣工稼働は昭和48年(1973年)2月。
各地で既に生産が始まっていた関東,関西の他県と比べると,広島は,やや遅れてのスタートだったようです。
この広島工場稼働の2年後,小松商店はヤマザキパンの取扱を開始。その後,昭和55,6年に,サンドイッチ作りが始まりました。そして40年以上も続く,お店の名物となっています。
手作りサンドイッチの他に,ヤマザキオリジナルには,季節ごとの商品や珍しいドリンクなどもあります。
取材に訪れた11月,ショーウインドーや天井には,クリスマスに向けての飾りつけがされていました。
小松「(季節の予約商品は)巻寿司,おひなさまのケーキ,男の子の節句。夏はウナギ,そしてクリスマスですね」
日々の仕事に,年中キャンペーンが入ると,二人だけではかなり忙しいのでは。ヤマザキのクリスマスケーキはよく知られていますが,うなぎまであるとは……。
小松「もう大変です。みんなに声かけるようになるよね」
季節イベント商品には,ケーキのほかにも恵方巻や,うな重など,ご飯ものもラインナップ。中でもうな重は,鹿児島県産うなぎ使用で二千円から三千円台と,お求めやすい価格も魅力です。
他にもヤマザキオリジナルで,ドリンク類も個性的な味が揃っていました。
飲料の冷蔵ケースには,カフェオレからキリマンジャロまで種類豊富な炭焼コーヒー,Yamazaki×チロルチョコ㈱監修チョコレートドリンク,ミルクセーキ,梅ソーダ,桃のドリンク。他店ではあまり見かけない選定が通好みです。桃ジュースは不二家のネクターより果汁の割合が多い35%と,果実感アップで楽しめます。
そして,真打ち登場,ヤマザキパンについてご紹介。
棚の全てがヤマザキパン。パン好きにはたまらない,至福の眺めです。
ずっしりデニッシュ,コッペパンなどのロングセラー商品から,こんがりチーズマヨパンやデニッシュリングドーナツなどの新製品も,しっかり入荷しています。
新製品の仕入れは千鶴子さんが決めているのだそうです。売れ筋商品中心の品揃えが多い大型店では見かけない,しかもおいしそうなパンばかりを選りすぐりで置いている,そんな印象があります。
小松「仕入れようと思ったらすごい種類があってね,その中から選んでいくんよ」
こちらの写真左側は,“ちょっと珍しい海外初のおいしさをヤマザキパンがイメージして作った「セカパン」”シリーズの新製品,イギリスのアップルクランブルパン。(セカパンは11月30日までの限定販売)
日々生活するのに十分な,日用品から食料品まで,よく使う,売れ筋商品を中心に置いています。
店内を回ってみると,外観からは想像がつかないほどの品数があり,まるでスーパーのようです。
取材の間にも,電話で取り置きや配達の連絡が入ってきます。そして,入れ代わり立ち代わりでお客さんが訪れ,話し声が尽きません。
みんみんラーメン,ガリバタ(ガーリックバター)と,食欲をそそるカップ麺に遭遇!
一平ちゃんと日清焼きそば袋パックの定番にはさまれて,ぶぶか油そばや家系MAXが。
万人向けの定番と,マニア向けの商品をバランスよく取り揃えています。
つい手に取りたくなる,おいしそうな季節限定品も入荷していました。
両親から引き継いだ小松商店。開業の昭和10年代といえば,日本はまだ戦時中でした。
この江田島とともに,小松さんご家族も,激動の世の中を生き抜いてきたことでしょう。
40年以上続けている,手作りサンドイッチ――。
ひとつのことを長年,変わらず続けることは,決して容易ではありません。
店を継ぎ,人生の大半を,仕事のために捧げなくてはならないのです。
おいしい,と食べてくれる誰かのために,新鮮な材料で,安心安全なものを地元から。
年中無休で,一日も欠かさず作り続けるその気概と姿勢に,ただただ感服です。
店主の君枝さんは79歳,千鶴子さんは82歳です(※取材時点)。
取材中に「何年できるかなあ思いながら,やってますけどね」と千鶴子さんが話されたときには,今までのご苦労を想像すると,何と答えていいのか……。かける言葉が見つかりませんでした。
しかしながら,実際に,朝入荷したパンを検品して並べたり,サンドイッチを調理する姿や,パンをスライスする様子を目の当たりにして,そのはつらつとした仕事ぶりは年齢を感じさせる不安など無く,それどころか大いに元気をいただきました。
おふたりとも熟練の職人,生涯現役といった言葉でしか,表現できませんでした。
いつかお店に寄られたサイクリストの方のように,「おいしかったけえ,また食べにきました」と。
いつでも思いたったら,もちろん一見さんでも,気後れすることなく。
みなさんもぜひ,小松商店へ訪れてみてください。
(取材:2022年11月,記事作成:2022年12月)
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【店舗情報】
小松商店(ヤマザキYショップ)
住所:〒737-2122 江田島市江田島町中央5丁目1−2
営業時間:午前6時~午後6時
年中無休
山田バス停のベンチと同じく,昭和の時代から存在する,集約灯器の信号機。
テレビなどでは通称「UFO信号機」と呼ばれ,現在は老朽化に伴うLEDの信号機に入れ替えが進んでいるため,全国的にも希少な種類となっています。
広島県ではこの山田だけにあります。小松商店に来られる際には,この信号を目印にお越しください。
2023年3月,大柿町大君に「BYUCCA glamping-ビュッカグランピング」が誕生しました。
江田島市内では2番目のグランピング場です。
同敷地内に社屋を構える,アパレルブランドaquagarage(アクアガレージ)がプロデュース。撮影スタジオ“Pinto”,ワーク&カフェ“yohac”を擁する,複合施設“Sugos”のひとつです。
▲深い藍色に沈む,薄暮の時間帯。
早瀬大橋を背景に,幻想的な雰囲気のライトアップ。色彩の妙が,異国感,非日常の空間を演出します。
今回の江田島ファンネットでは, Pinto,yohacの様子と共に,その魅力をお届けします。
(※取材及び写真撮影時期はグランドオープン前の2月で,完成後の現在と同じでない箇所もあります)
・お話を伺った人:有限会社伊勢屋(いせいや)コンサルタント 代表取締役 山下真由美さん
1989年創業の建設コンサルタント会社。
2000年代後半から,雑貨や衣料を扱うEコマース(電子商取引)へ事業展開。現在は,レディースアパレルブランド「アクアガレージ」を経営。上質・低価格,トレンドを取り込んだベーシックな商品で人気を博し,ローカル局の情報番組から全国ネットのテレビドラマ,映画などにも,衣装協力を行う。
・聞き手:江田島ファンネット
※記事内の写真提供…アクアガレージ(△のみ江田島ファンネット撮影)
△1階はSugos部分の撮影スタジオとカフェ,会議室など。2階はアクアガレージ新社屋。
一般的な企業から連想するような硬質さは無く,古くからの友人宅を訪れたような温かさが印象的でした。
△取材中の一コマ。バーバパパをモチーフにした5号棟「ANNETTE」の前で,山下代表取締役(写真左)。
気さくで親しみやすいお人柄ながらも,情報量の深さ,先見の明に,驚かされることが多かった取材となりました。
(写真右:江田島ファンネット・吉田)
「Sugos」の由来
△昨年撮影した,江田島ファンネット公式YouTubeチャンネルの動画「大柿町大君 県道121号線(大君深江線)の桜」からの一場面。
並び立つフェニックス(ヤシの木)の奥側が泉公園。広い砂地にカラーコーンが点在するこの光景も,今は過去のものになりました。
――早瀬大橋の下は,泉公園からの眺めは良いものの,周りに何もない状態でした。
複合施設Sugosや新社屋を,この地に決めた経緯をお聞かせください。
山下「能美町にあったアクアガレージの旧社屋が手狭になり,商品撮影と会議が重なると場所が取れず,業務に支障を生じた時期がありました」
しかし江田島市内に賃貸オフィスは無く,近隣の方から紹介された物件を検討したものの――。
山下「耐震問題や,私の思いと違って「海が見えない」など,条件が揃うところが無くて」 そうした中,経済産業省の事業再構築補助金へ応募したところ,採択され,本格的に事業拡張へ動き出すことに。
(※事業再構築補助金…新分野展開や業種転換などの大きな事業再構築を図る中小企業・中堅企業・個人事業主などを支援するための制度。コロナ禍における経済社会の変化に対し,日本経済の構造転換を目的に創設された)
海が見える,江田島市らしい立地を探すも,ビジネス目線で考えると,海が見えるだけでは条件が難しい。
その後,江田島市の協力もあり,泉公園の横を借りることができて,現在に至ったのだそうです。
山下「但し,すごく広すぎて。1500坪の中で我々が使いたいのは,僅かな規模なんです」 キャンプ場の着想は,余った土地の活用方法を模索する中で,生まれました。
しかし昨今では時流にそぐわず,キャンプ場立て直しが増えている――。専門家の方からの助言を受け,グランピング一択で方向性が決まりました。
――初めからグランピングではなく,もともとはオフィス,スタジオありきが出発点だったんですね。
山下「スタジオが要る,会議室も要る。でもどうせなら,皆さんが気軽に利用できるカフェみたいなスペースも作りたい。
うちのスタッフだけじゃなく,オープンな場所にしたい意味もあって。
みんなにここで過ごしてほしいなという思いから,「Sugos(すごす)」っていう名前がついてるんです」
△Sugosエントランスにあるフロアガイド。
温かい色調と,寄木細工を思わせる案内板は,見た目にも楽しい,おもてなしを感じる意匠となっています。
――Sugosの各施設について,名前の由来を教えてください。
山下「ワーク&カフェyohacは,頭を真っ白にして少し考えごとや,ぼーっとするとか,そういう意味合いも「余白」かなと思って。
スタジオPintoは,ピントを合わせるみたいな可愛い語感に。ロゴマークは,絞りのデザインのピントですね。
BYUCCAっていう名の由来は,イタリア語のBACCA(バッカ)という言葉で,英語でberry(ベリー)。
瑞々しい果実,そういうベリー系の果実のことを指すみたいで,バッカとビューティーの造語です。
体も心も瑞々しく,リフレッシュして帰ってもらいたい,そんな意味を込めています」
――それぞれに詰まった思いが深くて,素敵ですね。
山下「女性は常に,何歳になっても,心は28歳らしいんですよ。社会人になって,恋愛して結婚してるかもしれないし。一通りの,楽しい人生を味わった時期なんですね,28歳というのは。
Sugosは,50歳の人も60歳の人も,28歳になれる場所です」
▲インタビューはSugos1階の会議室にて。薪ストーブやデンマークインテリアのセンスの良さが目を引きます。
『こんなにいい場所だったんだね』
――今回の事業拡張に着手するよりも前,ここを通られた時などに,場所の印象などありましたでしょうか。
△動画「大柿町大君 県道121号線(大君深江線)の桜」の,別シーン。切り立つ岩肌が連なり,その先の深江側には,採石場があります。
山下「長浜海水浴場の先に採石場があって,(会社の業務の関係で)ここを通っていました。それ以外は,特に印象が無かったんです。
でも今は,多くの方が来られるようになって『こんなにいい場所だったんだね』と,皆さん言われます。
50代,60代の人に聞くと『ここはいつも遠足のコースだった』とか。もっと前の世代では『ここに遊園地があって』『子供の頃,ここに来るのが楽しみだったんだよ』と仰る方もいらっしゃいます」
――遊園地の話は初めて聞きました。昭和から平成を経て令和の時代にまた,活気が戻ってきた感がありますね。
山下「本当にいいところですよね,橋の下って。すごく,わくわくするところです」
△呉市で発行されている情報冊子「海洋彩都」no.57(2014年10月号)から。
特集「昔なつかし遊び場ばなし」から,遊園地「早瀬ファミリーランド」に関する記事を発見。
現在ここはオリーブ畑になっているとのこと。
1970年代には,レストランを備えた海上ホテルまであった早瀬大橋周辺。令和のいま,時を経て,再び賑わいのある場所となりました。
今後のアクティビティについて
山下「暖かくて,特に朝が気持ちいいから,出社したときがすごくいいんです。背中が熱くて,今もエアコンつけていないんです」
――冬なのにこんなに暖かい,日当たりがいいですよね。
△南側に面した建物の採光部。広々とした立地ならではの好条件です。
この日は,最高気温10度未満,風も強い天候でしたが,新社屋内や,後で紹介するグランピング施設も,エアコンなしでとても暖かく過ごせました。
山下「グランピングのお客さまにはぜひとも,朝ヨガは経験してほしいですね。そして,マダイの全国有数な釣りスポットらしく,フィッシングもアクティビティとして取り入れたいです。後は,たいやき作りとかも(笑)」
――かわいいですね。
山下「ここにちなんだ美味しいアクティビティがやりたいなと。あとは,レモンスカッシュ作りとか。
早くチェックインをされる方が多いみたいで。3時からなのに,お昼にはもう着いているという場合です」
――市内の他の宿泊施設でも,早く到着される方が多いと,話を聞いています。
山下「時間を持て余して,過ごし方に戸惑うんです。でも夕食も近いし,山に登ったりするのも,なかなか時間が取れないでしょうね。
また,能美町にコーヒー焙煎の方がいらっしゃるので,指導を受けて,コーヒーのロースト,ミル作りも考えています」
――鹿川のCoffee Roast Sereno(コーヒー焙煎の店)さんですね。ここでも出来るようになると。
山下「他にも,マリンアクティビティでは,アウトリガーカヌーとか。そのあたりはいま,長浜海水浴場さんと契約したところなんです」
スタジオPinto
△アクアガレージのホームページなどへの掲載商品を撮影する自社スタジオ。
一般利用可。スタジオ貸切や撮影代行サービスも行う。
――明るくて,光が柔らかい感じですね。商品写真だけでなく,ポートレート撮影にもいい場所ですね。
山下「人工光でも勿論,明るさは足せるんですけど,やっぱり太陽の光を超えるもの,代わるものは無いですね。自然光だと,影が柔らかく写るんですよ」
▲(画像はアクアガレージHPより)肌や生地の質感が十分伝わるのは,撮影機材,技術と,自然光の特性を活かしたこのスタジオならでは。
ワーク&カフェyohac
※メニューや営業時間などの最新情報は、こちらをご覧ください。
△電源,WiFI完備の室内は,ワーケーションにも最適。窓外の景色を眺めながら,清閑な雰囲気で島時間を堪能できます。
山下「カフェとランチで,ホットサンドとかの軽めの食事になります」
△Sugosをイベントなどで利用される方向けの食事を,ここで提供する場合もあるそうです。
突撃!隣のすごいオフィス
山下社長のご厚意により,一般の方は入れないアクアガレージのオフィスに案内いただきました。
階段を上がると,そこには……。
――明るくて窓が多いというか,壁が少ないですね。ほぼ「外」で,暖かい。
△オフィスに続く廊下から窓外の景色。右手前がスタジオPinto,後方に5つのドームテントが並びます。
モントリオール万博博覧会アメリカ館や,かつての富士山頂レーダーでおなじみの形状は,フラードーム(ジオデシックドーム)と呼ばれる構造。アメリカの建築家バックミンスター・フラーが考案。頑丈で荒天に耐える仕組みを持ち,ドームハウスやグランピングテントなどに採用されています。
△アクアガレージオフィス。遠くに海を眺めつつ,採光たっぷりの室内。「いいですいいです,光が」(江田島ファンネット・吉田談)。
採光と適温を両立した,過ごしやすい空間がそこにありました。
各ドームの魅力をたっぷりお届け、後編へと続きます!
前編はこちらから。後半は各ドームの様子などをお伝えします!
▲宿泊ドーム横の青い建物は,管理棟インフォメーションです。
△宿泊を伴わない日帰り利用の方でも,気軽に立ち寄れる場所です。(※2月取材時,保冷庫や内装の一部は工事中)
山下「ベトナムのサンドイッチ・バインミーをここで出す予定です。宿泊客の方だけでなく,ふらっと立ち寄った方にも食べていただけるように」
バインミーは,フランスパンに野菜や肉などを挟んだベトナムのサンドイッチ。江田島市では初登場のグルメに期待大です!
▲5つの各テントに併設された,専用食事・水回り小屋。手作り感ある風合いの外観にも注目です。
1号棟の「FINCA」とは,何なのでしょうか……?
山下「ここはヘミングウェイですね。ドームテントに「老人と海」を置いています。テレビとかは無いんですけど」
△海のそばで読書。ゆっくりとした時間を過ごすのも,Sugosならではの楽しみ方です。
山下「それぞれにコンセプトがあって,海にまつわるものが由来になっているんです。家族連れで来られたときに,絵本や本を読んでもらいたくて。1棟目がヘミングウェイ(注1)なんです」
(注1)アメリカ出身,ノーベル賞作家のヘミングウェイ。20数年暮らしたキューバは,本島の他に1600余りの小島や岩礁で形成され,沿岸には美しいビーチリゾートが広がります。
キューバのハバナ郊外の邸宅「フィンカ・ビヒア(Finca Vigia)」は,代表作『老人と海』の執筆場所として有名で,現在は博物館となっています。小説の舞台となった漁村・コヒマルは,ハバナより10キロ先に位置し,観光名所で人気のスポットです。
△テントから見える穏やかな海は,のどかな漁村と評されるコヒマルに通じるものがあるのかもしれません。
△狩猟好きで知られたヘミングウェイ。そのモチーフが室内に溶け込むように,さりげなく使われているところにセンスの良さを感じます。
▲2号棟はNOA。
山下「NOAは,ゴーギャン(注2)ですね。他にもトーベ・ヤンソンや,バーバパパがあります」
――名前がそれぞれ違ってて,内装も変えているんですね。
(注2)NOAは,フランスの画家・ゴーギャンのタヒチ滞在記「NOA NOA」から名前が採られ,インテリアや内装にそのモチーフが活かされています。
想像を駆使した手法で描くゴーギャン。実体験でなく脚色を施した「NOA NOA」は,彼自身の精神の冒険譚と言われています。色彩で表現した思想が,世間から理解されない自作品を,文章で伝える方法を選んだのです。
「NOA NOA」の邦訳は岩波文庫版以外に,ちくま学芸文庫版「NOA NOA」もあります。ちくま版は本編に併録された草稿を読み比べることができ,原稿の編集を依頼した象徴派の詩人・批評家のシャルル・モリスの手で,読み物として洗練された過程がうかがえます。
どの名前も,一読しただけでは正解が想像できない,クイズのような趣向がユニークです。BYUCCAグランピングの,それぞれの名前の由来を知ることは,芸術作品の寓意を汲むことと近似しているのかもしれません。
▲3号棟はBELLA。
映画「グランブルー」の舞台となった,イタリアのシチリア。その地の,イゾラ・ベッラ(Isola Bella)に由来し,グランブルーにちなんで,海に潜るイメージのインテリアになっています。
イタリア語で「美しい島」の意味をもつIsola Bellaは,海岸と砂州でつながった小さな島。異なる立地ではありますが,早瀬大橋のたもとは,蹴り小島や王泊などの自然に恵まれ,江田島市ならではの「美しい島」と呼べる景観に違いありません。
また,イゾラ・ベッラの雰囲気は室内だけでなく,屋外の専用ジャグジー付きで,贅沢体験が楽しめます!
▲満天の星を見ながら,屋外ジャグジーでくつろぐ……。このロケーションだからこそできる至福のひとときです。
4,5号棟は,小さなお子さまにも親しみのある題材が登場します!
▲4号棟のKLOVは,フィンランド湾に浮かぶクルーヴハル島(Klovharun)から名前が採られています。
ムーミンシリーズの作者として知られる,フィンランドの画家で小説家のトーベ・ヤンソン。
晩年に,クルーヴハル島に小屋を建て,以降20年以上,春から夏の間を過ごしました。そして,別荘兼アトリエとなった小屋で,ムーミンシリーズは書かれました。
4号棟のインテリアは,この小屋に合わせたもので,フィンランドの由来から,サウナが設置されています。
▲専用のバレルサウナ(樽型サウナ)付きで,本格的な“ととのう”体験を満喫!ロウリュ(熱したサウナストーンにアロマ水をかけて発生する蒸気)が室内に循環するのに適した構造なのだそうです
KLOVは他の棟よりも,桜の木が茂る奥寄りに建てられ,クルーヴハル島が持つ海の印象と,フィンランドから想起される森のイメージを両立させています。立地の雰囲気をうまく取り込み,専用食事・水回り小屋にも情緒を醸しだす演出がお見事です。
そして,BYUCCAグランピング最大の10メートルドームテント,5号棟のANETTE。
高い天井の下で,コタツを挟めるくらいに間をとり,ベッドが並んだ様子は,壮観の一言に尽きます。
▲最大定員10名でも宿泊可能。気のおけない仲間たち,多世帯での利用など,使い方・泊まり方の選択肢が広がります。
山下「ここは,山下明生(はるお)さんのバーバパパをコンセプトにしています。バーバパパの原作の,アネット・チゾンさんにリスペクトして「アネット」としてるんですよ。
山下明生さんは,バーバパパのほかにも,海にまつわる絵本をたくさん執筆されてて,それを全部寄贈してもらったんです。ちょっとしたものですが,山下明生文庫もあります」
▲カラフルなじゅうたんは,ドームのコンセプトが活かされています。
▲冬場には欠かせないコタツに,こんなサプライズも。形とピンク色からの連想で気づく仕掛けが面白いです。
△殺風景になりがちな水周りにも,細かな心配りがありました。
△使い勝手の良いクッションと一緒に。山下明生さん訳書のバーバパパと童話が読めます。
▲ちなみに,山下明生さんの代表作「島ひきおに」(注3)の引島は,Sugosからは離れていますが,大君のオリーブファクトリー周辺から見ることができます。
(注3)1937年東京都生まれの山下明生さんは,幼少期を能美島で過ごされました。出版社で児童書の編集を手掛け,自身も童話などの創作を行っています。代表作の「島ひきおに」は,人間たちと一緒に遊びたい鬼が,漁師の出まかせの「島を引っ張ってくれば一緒に暮らせる」に騙されて島を引いてくるものの,一緒に暮らす人は現れないという,考えさせられる内容のお話です。
「島ひきおに」は国語の教科書にも載り,続きを求める声が多くの児童から出たそうです。決して明るくない作品ながらも,読書対象の幼い世代からこの結末を受け入れる声が出たことは,山下明生さんの作風と締めくくりを,たくさんの方々が望んでいたのでしょう。
▲各テントは焚火台とバーベキュースペースを備え,日没後の忘れられないひと時を演出します。
――江田島ファンネットでは,江田島市から遠く離れて暮らしている方向けに,今のまちの様子をお伝えしています。とくに,大柿町にかつて住まわれた方々には,長浜海岸や,早瀬大橋のたもとに昔は通園地があったことなども含めて,ひときわ懐かしい場所であろうと思います。
ここ最近は,旅行への機運も戻りつつあり,陸路からの入口である早瀬大橋や,この場所へ来られる方も多くなってくるでしょう。
そうした中で,江田島ファンネットをご覧いただいている方々に,メッセージをお願いします。
山下「Sugosは,大切な人とゆっくり時間を過ごす場所として,江田島市内へと続く,入口となる象徴的な早瀬大橋のたもとに生まれた新しいスペースです。ここは,私の物でも,会社の物でもなくて,みんなのものなので,オープンに捉えていただきたいと思っています。
潮風や静かなさざなみの音,満点の星空が広がる,柔らかな時間の中で,ゆっくりくつろいでいただきたい,ここから江田島市の魅力を全国へ発信する拠点としたい,という意味が込められています。
地元の人や産業をつないで地域の価値を高め,一過性ではない課題解決に取り組みたいと考えています」
――今や全国ネットのテレビ番組や映画で,商品や名前を見るのが日常となったアクアガレージ。江田島市発のアパレルブランドであることが誇らしく,またこのたびのSugos誕生は,市内外問わず楽しめる場所として,本当に素晴らしいことだと思います。
今回は,貴重なお話をたくさん伺うことができました。
ご多用のところ,お時間をいただきまして,ありがとうございました。
(取材年月:2023年2月)
【企業情報】
〒737-2212 広島県江田島市大柿町大君2389−2
・アクアガレージ(有限会社伊勢屋コンサルタント)
・Sugos
・BYUCCAグランピング
・BYUCCAグランピング インスタグラムアカウント
▲BYUCCAグランピングのロゴは,ファビコン(ブラウザで開いたときのお気に入りアイコン)を想定して,シンプルな形になったのだそうです。スマホやネットで検索する時代ならではのデザインです。
ロゴに,星とドームを表現したのは,
山下「『グランピングで楽しみたいこと』を調べた全国的なアンケートの1位が,天体観測だったんですね」
江田島市内に住んでいると見慣れた日常でも,利用者の方にとっては,得難い体験であることに気づかされます。
各ドームのモチーフからロゴデザイン,アクティビティに至るまで,細かい配慮があり,多くのことを学ばせていただいた取材となりました。
BYUCCAグランピングは,江田島市のグランピング施設では2番手で,市内外の競合で独自色を打ち出すのは至難の業であるはずです。そんな状況下でも,グーグルマップの口コミやインスタなどの反応はどれも高評価。
ホームページや予約サイトの写真だけでは,その良さの一部しか伺い知ることができませんが,とにかく詰め込まれた情報量とその密度が濃い!訪れた方々をいかに楽しませるか,その目配りの数々を,記事を読んでいただいた皆さんと共有できれば幸甚です。
江田島ファンネットの記事で過去最大級の分量となりましたが,それでも言葉と写真だけでは100パーセント伝えきれないのが本当に残念です。その素敵さをぜひ,ご覧いただいている皆さんも,体験してみてください!
【BYUCCAグランピングに泊まる前,または,帰ってからまた読んでおきたい6冊】
※6冊とも江田島市の図書館で借りられます。予約状況および所蔵館はタイトル検索でご確認ください。
・もっと知りたいゴーギャン(六人部昭典/著,2014年09月 河出書房新刊)
・老人と海(光文社古典新訳文庫 ヘミングウェイ/著 小川高義/訳,2014年9月 光文社刊)
・ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン(トゥーラ・カルヤライネン/著 セルボ貴子/訳 五十嵐淳/訳 2014年09月 河出書房新社)
・たのしいムーミン一家(トーベ・ヤンソン/作・絵 山室静/訳,1998年10月 講談社刊)
・おばけのバーバパパ(アネット=チゾン/さく タラス=テイラー/さく やましたはるお/やく, 1989年9月 偕成社刊)
・山下明生・童話の島じま 3(山下明生/作,2012年3月 あかね書房刊)※「島ひきおに」所収
大柿町大原の有限会社江能環境整備に,1969年から走り続けているバキュームカーがあります。
ベース車両は,東洋工業(現マツダ)の三輪トラック・T2000。小回りがきき,狭い路地の走行に適し,2022年現在もなお,江田島町の一部にて活躍中です。
▲月に1~2回程度の作業日以外は車庫に納められています。陽をうけて鮮やかな緑色が印象的な車体です。
▲綺麗に磨かれたヘッドライト。ボディ前面から側面にかけての損傷は,塗装で補修されています。
▲黒光りを放つ前輪ホイール。半世紀を超えた今でも現役の車,大切に乗り続けてこられた証です。
▲後方から。バケツやホース,網かごにいたるまで,掃除が行き届いていました。
▲昭和のこの時代ならでは,趣あるデザインのステアリングホイール。お洒落なカバ―付きでピカピカでした。
今までじっくりと見る機会がなかったバキュームカーでしたが,日々こんなに綺麗に整備されていることに感嘆しました。
江能環境整備のT2000バキュームカーは,現役車両かつ用務の希少さから,雑誌で紹介されたり,ミニカーにもなりました。
【雑誌での紹介】
・[内外出版社]
『高速有鉛デラックス』Vol.28 2012年8月号…「糸目姐さんのリアル失血日記」
『高速有鉛ザ・ベスト』Vol.1 はたらくじどうしゃデラックス 2018年12月臨時増刊号
※高速有鉛デラックスから作業車の記事を抜粋した特別号に再録。
・[八重洲出版]『Old-timer (オールドタイマー) 』No.121 2011年12月号…「異色車発掘紀行〈広島・岡山編〉」
『Old-timer』は隔月刊の旧車レストア(劣化した旧車を新車のように復元する)情報誌。滋味あふれるイラストで創刊号から毎号表紙を飾るのは,画家・イラストレーターの沼尻新さん。旧車が持つ魅力を,レストアの過程やオーナーに焦点を当てた誌面作りが特徴です。
(※Old-timer誌 No.121は版元在庫切れ)
【ミニカーなど製品化】※2022年10月時点で在庫無し
・[トミーテック]
トミカリミテッドヴィンテージLV-122a マツダ T2000 衛生車(江能環境整備 緑)
トミカリミテッドヴィンテージ…旧車の1/64スケールミニカーのシリーズ。2012年6月発売。
(※型番LV-122bは,T2000標準色のブルーで製品化。江能環境整備仕様でないため,社名は入っていません)
・[アシェット・コレクションズ・ジャパン]
懐かしの商用車コレクション vol.44マツダT2000(TVA8E)バキュームカー仕様
1/43スケールミニカー付の分冊百科。2022年8月発売。
自動車雑誌の老舗で知られる内外出版社,八重洲出版。江田島市のたった1台の商用車が,このように記事になっていたとは,何とも目頭が熱くなるものがあります。
また,製品化には,鉄道模型やミニカーで有名なトミーテック,テーマ別のパートワーク(分冊百科)誌を出版するアシェット・コレクションズ・ジャパンと,こちらも名門揃いです。
ここからは,懐かしの商用車コレクションと高速有鉛デラックスについて,お話します。
まずは実車の正面から。T2000は標準色の青が圧倒的に多いなかで,緑色の車体は,見た目にも存在感が大きいですね。個性的なデザインとの相乗効果で,愛嬌の良さが際立っています。
『懐かしの商用車コレクションvol.44マツダT2000(TVA8E)バキュームカー仕様』。
江田島市特産のカキやオリーブではなく,バキュームカーが全国の書店に。
バキュームカーのミニカーは,店頭,ネット市場ともに人気で,品薄状態です。
F1やル・マン出場モデルなどの製品化で,熱烈なファンの支持を集めるMINIMAX社のミニカーブランド「スパーク」が設計・開発協力を担当。模型の開発総合監修を,自動車・鉄道系イラストレータ&ライターの遠藤イヅルさんが行っています。
ミニカーのボディカラーは,実車のボンネット塗装色に近く,本物よりもやや明るい仕上がりです。
陽をうけて鮮やかな緑色が印象的な車ですので,見た感じのイメージと合うような記憶色が使われているのかもしれません。
凹凸の再現が難しいフロントグリルや開口部などは,塗装で細かく色分けされています。
ドア側面には燦然と輝く「(有)江能環境整備」の白文字!
売り切れ続出という好評をもって迎えられたことは,半世紀働き続けた功労賞と言っていいでしょう。
(※コンテンツ保護のため誌面をぼかしています)
vol.44マガジンの巻頭は「遠藤イヅルのコレクションギャラリー」。同氏によるイラストとともに,車の特徴や時代背景を解説。実用車がもつ旧車の魅力を,ミニカー,イラストに詳細な解説が楽しめる贅沢な作りです。
また,バキュームカーを配した江田島市の光景は,昭和の時代に他の地域でも活躍していただろう様子と重なり,かつての日本の原風景として,見る人に郷愁を呼び起こすのではないでしょうか。
他のページは,「街角を彩った国産車たち」「昭和・平成を駆け抜けた国産メーカー史」と,旧車の話題を中心に現行型の系譜にも触れています。
▲「街角を彩った国産車たち」から,スズキフロンテ71。昭和の頃に見かけてユニークなデザインで印象に残ったこの車。RR駆動によりエンジン後方搭載,冷却口が設けられたことなど,いま知ると首肯点頭しきりの解説でした。
続いては,今年2022年で創刊15周年を迎えた,高速有鉛デラックス誌です。
『高速有鉛デラックス』は,国産旧車が主役のマニア時代の雑誌。創刊から第6号まではフリーペーパー『高速有鉛』,現在は内外出版社から隔月で刊行。同社の空冷&水冷フォルクスワーゲン専門雑誌『Street VWs (ストリートワーゲン)』編集長でもあるフルウチサトシさんが,国産車趣味を追求するために制作したのが始まりです。
※「高速有鉛とは? 今明かされる高速有鉛の名前の由来」(月刊自家用車WEBより)
昭和の時代,車のリアウインドーにはられた有鉛ステッカーと高速有鉛ステッカーが気になっていた同好の士には,この由来を読んで「そうだったのか!」と膝を叩くこと請け合いです。
▲誌面から,旧車イベントレポートの様子。
江田島市内では見かけない,その規模と盛況ぶり,旧車が持つ圧倒的な存在感に魅了されます。
ブログ「糸目姐さんの失血日記」を運営,高速有鉛デラックス誌の名物コーナー「糸目姐さんのリアル失血日記」を担当するのは,広島県出身・在住の糸目今日子さんです。
この号では,江能環境整備仕様のT2000バキュームカーを4ページにわたって特集。小春日和の沿岸を疾走するレアなショットや流し撮り,トミーテック連動企画(Vol.28掲載時,ミニカーは開発中)の採寸シーンなど,江田島市内在住でも遭遇率の低いこの車を,多くの写真と濃密な解説で堪能できる永久保存版です。
▲隔月刊でオールカラー(一部モノクロあり)。どの記事も写真も,クルマ愛ほとばしる誌面は,とにかく情報量が半端なく多いです。他誌の追随を許さないマニア度とボリュームは,価格1,200円も納得です。
この号の「トミーテック連動企画 マツダT2000衛生車」は,糸目姐さん所有の青いT2000(ノーマル車)と並び立つ貴重なショットが冒頭を飾ります。
▲80年代のFM情報誌付録などで定番だった,懐かしいカセットレーベルも誌面の一部に。
何故カセットレーベル?と不思議に思ってたら,旧車のオーディオシステムに合わせているんですね。
実に心憎い趣向です。
▲『高速有鉛ザ・ベストVol.1 はたらくじどうしゃデラックス2018年12月号』。
過去の高速有鉛デラックス誌から,作業車の記事を抜粋,フルカラー116ページで1,500円。
取材の密度と写真の数,情報量の詰め込み度など鑑みれば,完全にサービス価格です。
▲T2000衛生車の記事は,江能環境整備編とあわせてvol.41の和歌山県鳶保清掃編も併録。
アニメや特撮ファンにはたまらない鉄板ネタ,まさかのライバル機登場の激アツ展開は心を鷲掴みにされます!
装備やカラーリング違いを掘り下げるところも,マニアのツボを知り尽くした構成です。
読みたい記事が1冊に収まった増刊号,バラエティ豊かな連載コンテンツの隔月誌ともに,それぞれの良さがあるので,江田島市にゆかりある方なら,2冊揃いは必至ですね。
時代とともに,日本各地の下水道普及・整備がすすみ,バキュームカーの活躍は激減。そんな中で,再三にわたる江能環境整備所有のT2000の紹介や製品化は,江田島市在住,出身いずれの方々にとっても,大いなる好事といえるでしょう。
また,昭和の高度成長期を支えてきた商用車が江田島市内で今も活躍し,多くの旧車ファンの方から愛されていることを,今回の取材と過去の雑誌掲載,製品化から深く知ることができました。
※江田島ファンネット記事内のT2000実車撮影と取材は,江能環境整備の方々にご協力いただきました。ありがとうございました。
(取材:2022年9月,記事作成:10月)
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【有限会社江能環境整備】
〒737-2213 江田島市大柿町大原2183-1
※iタウンページリンク
【雑誌,ミニカーなどの関連リンク】
▶アシェット・コレクションズ・ジャパン『懐かしの商用車コレクション』
▶イラストレーター 遠藤イヅル(Izuru Endo)フェイスブック
▶高速有鉛ウェブ
“マニアな国産車趣味人向けウェブサイト”の惹句通り,歴史と知識の片鱗から既に圧倒されます。スープラ,ソアラやツインカムなど,青春の一ページを彩った車名やパワーワードが出ると,その先を読まずにはいられない旧車ワールド深淵の入り口です。
▶高速有鉛StreetVWs(中の人)ツイッターアカウント
“高速有鉛デラックス編集部とStreet VWs編集部の中の人が、鉄道とワーゲンと北米仕様と旧車と鉄道とバスと鉄道の話を中心につぶやく非公式アカウント”(ツイッターアカウント紹介文より引用)です。
▶NAIGAI-SHOP(内外出版社運営の通販サイト)
※ネット書店などで在庫無しの『高速有鉛デラックス』Vol.28は,2022年10月時点でこちらに在庫があります。
▶『高速有鉛デラックス』ページ
▶トミカリミテッドヴィンテージ
▶八重洲出版オンラインショップ
『Old-timer』ページ
「異色車発掘紀行〈広島・岡山編〉」掲載のNo.121は入手不可,今回の記事で紹介できなかったのが心残りです。
古い号もいつの日か,電子書籍化されることを期待しています。
前回の記事はこちら→【「縁,運命を感じたんです」――能美町中町にクラフトビール醸造所が誕生】
(※津田酒造で使われなくなった酒蔵を利活用して,酒類卸のヒラオカ(広島市)がクラフトビール醸造所を設置した)
津田酒造㈱:代表取締役社長・津田紘吏(ひろし)さん
聞き手,進行:江田島市政策推進課(企業誘致などの担当課)・川上さん
解説:江田島ファンネット
ひとつの転機の始まり
川上「今回のクラフトビールは割と,新規事業としては,スムーズでしたね」
津田「そうです。これは初めてですけど,江田島市の,我々,住民としてみれば。ひとつのもの,転機の始まりだろうというような気が,するんです。新しいものへのね」
川上「今まで通りでは,どうやっても今まで通りですよね」
津田「そうです。しかし今の時代,一つのもので10年20年続くことは滅多にないです。それをどのように変えていけるかと,いうことでしょうね」
この取材の際,津田さんに,敷地内の古物展示を見せていただいた。
今回は,その写真などを織り交ぜながら,津田酒造の歴史と日本酒造りの現況に焦点を当てる。
▲古物展示場前にて津田さん。かつての酒蔵の設備を活用。見学できるようにしている。
▲木製の扉や棚,はかり,金盥。古くからの酒造りと生活の空間がそのまま残されていた。
津田「酒を充填するところや昔の絞り器とか,いろいろあります。これは前に,中学校の生徒が来て,描いてくれたんです」
▲日本酒のホーロータンクには平成10年に描かれたペイント。
簡素ながらも的確に特徴をとらえたフェリーの絵。
穏やかな海辺の景色や潮風,山の緑をイメージして名づけられた“島の香”は,フェリーのある海の香りが,生徒たちに身近な島の香りなのかもしれない。
▲この蔵で酒造りが行われていた頃の様子。タンクの数や規模から重労働であったことが窺える。
津田「大きな洗瓶機(せんびんき)と,詰め機,製造ラインが,ありました。(パネルを示して)この釜は,クラフトビール醸造所になった場所から動かしてきたものです」
▲パネルを併用して丁寧に説明する津田さん。
▲クラフトビール醸造所になる前の酒蔵で使われていた蒸し釜。一度に1800lの米を蒸すことができる。
どの写真も,長年の功労を称え,慈愛の目線で撮影されていたのが印象的だった。
▲情緒ある酒蔵の外観や,発酵タンクなどの製造設備も収めたパネルの数々。
酒蔵スケッチの名手・加藤忠一さんによる,あたたかな筆致のイラストが卓上に彩りを添える。
日本酒を作り続けることの難しさ
津田「明治26年創業で,私が3代目ですが,“能美島に10軒余りを数えたが,平成元年では2軒を余すのみ”と……。こういうふうになって」
川上「もうその頃は,2軒になってたんですね」
▲津田醸の歴史(展示パネルより)
創業時は地元の人で造った杜氏蔵人も,製造石数の増加に伴い,遠方からの支援に変わっていった。
しかし担い手不足などにより,平成元年には能美島の酒造場は僅か2軒になった。
津田「結局,人がおらんのですよ。杜氏も勿論ですが,蔵人(くらびと)や,入って働く人が。
どこも皆そうです。ですから2,3人ほどの少人数,家族などでやるところも他所にはあります。
ただそれは,とてもじゃないが続けてできるもんじゃないんです。
それと少量を自分のところで作るのは殆どないです。採算が合いません。雇う人も,ある程度継続して雇わないといけませんから。
酒造りは,いったん始めたら日曜も祭日もない。ずっとやらないといけない。今の時代,それを続けられる人はいないんですよ。そうなると,どんどん酒造りに関わる人がいなくなる。
だから現代では,社員を使うところもあります。それと自動化。コンピュータ制御で醗酵を抑えたり,温度が何度になったら作業が止まるようにするとか。そういう設備でないと,できないんです。
でも純米酒や純米吟醸とか特別なものは,少量を作って品評会などに出すんですよね。それらは珍しさはありますが,飽きずに長く,飲み続けることはできんのです。
“寿司が好きでも,毎日毎日寿司は食べられない,白いご飯が一番いい”と,言うようなものでね。
だから売れる量は多くないんですよ。昔,1級や2級で売っていた普通酒が,晩酌に一番向くんです。
それがだんだん減って,純米酒などで小さい瓶に入れたりするようになりました。
でも,生産ラインに一升瓶が,どんどんどんどん流れていくようでないと,経営は難しいんです。
▲生産ラインの作業風景(展示パネル写真より)。
そんなことで酒造りを辞めたり,業種を変えたりされるんですが,主な原因は働き手がいないことです。他にもいま,海外では日本酒よりもウイスキーがブームになりかけてるでしょう」
川上「すごいですよね,あれ。値上がりして」
津田「それも何年続くか,分かりません。だから今いろんなところが,ウイスキー作ると言ってますね。
これらも一つの時代の転機なんです。その転機が近頃は,パターンが短くなりました。
昔は10年か20年は続いていました。ところが今や,5年や3年と,短くなっています。
この前も中学生が,地元の企業訪問で「ちょっと話聞かせて」と,うちに見に来てくれたんです。今度,クラフトビールがあそこでできるようになると話したら驚いていましたね。地産地消,地元で作ったもの・地元の製品を,みんなで盛り上げるようにしてくださいと,お願いしました」
川上「お店の話題にしても,今は辞める店が多いですからね」
津田「趣向や生活様式が変わったこともありますが,大きな原因は日本の人口減だと思うんです。だから,よそから遊びに来た人が消費する,土産に持って帰る,贈るとかね。そういうことがあると,やっぱり違うんですが」
飲みやすく飲み飽きない,愛されるお酒をこれからも
恵まれた気候と風土の中で育まれた麹菌を使う,日本の伝統的な酒造りの技術は,国の無形文化財に2021年12月に登録された。日本が誇る文化の産物でありながら,国税庁「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和3年調査分)」によると,広島県の清酒製造事業者数は34者しかない。80者を超えていた平成12年度調査時から,半数以上も減少した。担い手や労働力不足,事業の採算性などに加えて,消費者の生活スタイルや嗜好の変化が背景にある。
「地産地消,地元で作ったもの・地元の製品を,みんなで盛り上げるようにしてくださいと,お願いしました」
クラフトビールだけでなく,津田酒造の日本酒,そして江田島市の産物にも含意は及ぶ。地産地消は,見慣れた地元の商店や風景が,この先も続くために,少しずつでもできる応援だ。
やがて社会に出て,消費者となり,もしかしたら未来の担い手になってくれるかもしれない中学生に向けて,津田さんが話したこの言葉が――いつまでも心のどこかに生き続けてほしいと願うばかりだ。
▲津田酒造の代表銘柄「清酒上撰 島の香」。
ラベルは,現代書のパイオニアとして,前衛書道に大きな影響を与えた書家・上田桑鳩(そうきゅう)の作。
“すっきりした辛口,どなたでも飲みやすく,飲み飽きない”美酒は,300mlから,720ml,1800mlで展開。
津田酒造公式ブログ「しまのかおり」では,通年販売銘柄とあわせて,お中元やお歳暮にぴったりの季節限定商品も紹介。美麗な写真を配した“お酒の特徴と飲み方のご案内”は,実店舗でおすすめをされているような丁寧さが好印象。こちらもあわせて要チェック。
(2022年6月取材)
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能美町中町にある,明治26年創業の津田酒造。
「島の香(かおり)」「月夜の宝島」の銘酒で知られ,令和のいまもなお,多くの人々に飲み継がれる味わいを届けている。
▲時代と共にあゆんできた,懐かしく,温かな佇まいの店舗。
▲手書きのポップ,華やかな色合いのプランターが,やさしいおもてなしの心を感じさせる。
▼昭和四十一年から三代目となった,代表取締役社長・津田紘吏(ひろし)さん。
江田島ファンネットが取材に訪れた2022年6月17日。
かつての酒蔵に,クラフトビールの醸造所が設置されたことを受けて,この日は神事が執り行われた。
▲クラフトビール製造全般は,酒類卸の株式会社ヒラオカ(広島市)が行う。
前列右から,ヒラオカ代表取締役社長・平岡哲也さん,専務取締役・平岡保幸さん。
前列左は江田島荘総支配人・阿部直樹さん。クラフトビールは江田島荘や酒類販売店などに卸され,江田島市の新たな観光資源となる。
▲「安心安全で,おいしいものを,地域の皆さんに届けたい」神事の後に,平岡哲也さんによる挨拶。
平日の午前,近隣の小学校グラウンドから,児童が活動する声が聞こえてくるなか,「ここで,こういうものを作ってるんだと子供たちにも思ってもらえたら」と,将来の担い手にも期待を寄せた。
▲写真右から,平岡保幸さんと平岡哲也さん。津田紘吏さんと,津田真由美さん。
江田島市にクラフトビール醸造所が誕生するまで
経緯は,江田島荘が開業する2年前へとさかのぼる――。
現在,江田島荘の1階宙(そら)ラウンジにある和紙作品には,大柿町出身の漆工芸家・六角紫水が考案したとされるキリンの図柄が使われている。ホテルの「地域と共に成長する」コンセプトの具現化に,江田島市が持つコンテンツの見直しなどを関係者との協働で行った成果の一つである。
▲和紙作品底面にあるキリンビールのロゴマーク
また,キリンビールのロゴデザインを手掛けた六角紫水を,未開拓コンテンツとして活かすべく,キリンビールとの連携検討が始まった。
キリンビールの技術支援により江田島市のビールが造られ,江田島荘にも販路を担う図式が描かれる。
江田島市内の幾つかの事業者に,ビール製造を打診するが,出資面や後継者不足から,色よい返事は得られなかった。そんな中,呉信用金庫の紹介で,広島市の酒類卸の株式会社ヒラオカが,2021年早春に参画を決めた。
津田酒造の空き施設を活用してクラフトビール醸造所が誕生するまでの道のりを,津田酒造とヒラオカにお話を伺った。
㈱ヒラオカ:代表取締役社長・平岡哲也さん
津田酒造㈱:代表取締役社長・津田紘吏さん
進行:江田島市政策推進課(企業誘致などの担当課)・川上さん
聞き手:江田島ファンネット
――醸造所完成まで,どれくらいの期間がかかったんでしょうか。
津田「2022年2月から取り掛かり,4か月半くらいです。酒蔵として使われていたものを,宮司さんに来てもらって片づけました。ここはコメを蒸すところだったんです。大きな釜がありましてね。古い用具をどけるのに全部お祓いをしてもらいました。それがすんで2月10日前後くらいに,お祓い済みのものを全て,中のものを撤去して改造を始めたんです。
外観は綺麗に塗ったりしましたが,全然つついてないんです。入口の,青い塗りの木の扉はシャッターになりました。
1800リッターくらい入る釜や,はけ口なんかも全部下へ埋めて平らにして,醸造所の工事を始めたんです。
▲クラフトビール醸造所に変わる前の酒蔵の様子。奥には大きな羽釜が見える。
酒造りのときは,外への煙道は下から続いて,煙が出るところだったんです。それらも全部潰しましたが,今回クラフトビール造りの釜から出る湯気を,煙突から出るようにしたらしいんです。だから少し,ちょろちょろっと煙が出るかもしれないんですよ」
――日本酒造りからクラフトビールに変わっても,同じような光景が見られるかもしれない。この煙突は,これからも生き続けるということですね。
津田「ガスなんで,そんなに出んかもしれんですよ。まあ,少しくらいは」
▲酒蔵から装い新たになったクラフトビール醸造所。
後ろにそびえたつおなじみの煙突は,これからも生き続ける。
クラフトビール醸造所に津田酒造が選ばれた理由
▲ヒラオカ代表取締役社長・平岡哲也さん
――クラフトビールを江田島市で製造するにあたって,施設や場所など,多くの選定要素があったと思います。その中で,津田酒造さんを選ばれた決め手は何だったのでしょうか。
平岡「津田さんの人柄です。より詳しくお話しますと,まずお話を頂戴した流れがありました。そこに津田さんがご協力いただけることになり,地元の方々と一緒に仕事ができるというところに魅力を感じました。
これは本当に,津田さんありきで,場所を決めさせていただいた次第です。
もしそうじゃなくて他に,空いている土地を借りるとなると,なかなか進み辛い話だったかもしれません」
――人があって場所があって,ということですね。
平岡「コンセプトがあって,人が集まって,そこに津田さんがご協力していただいて。我々は参画させていただいたという流れでした。おかげさまで,本当に実現できたというところですね」
川上「地方で活動する際,地域の方々の協力は不可欠ですね。そのイメージが出来上がっていたのは大きかったと思います」
平岡「クラフトビールを作りたいだけではなく,多くのことを考えていました。我々は広島の業者ですが,江田島市の方々と繋がりながら,いろんな仕掛けをしていける魅力が大きく感じたので,着手を決めたんです」
――(津田さんに伺う)ヒラオカさんと最初に,お会いになった印象はどうでしたか?
津田「ヒラオカさん自体は初めてなんですが,この方のおじいさんは酒の卸組合でよく存じ上げておりました。だから,初めてという感じは,なかったんです。うちは,空いたとこで使える場所があれば,どうぞ使ってください,皆さんのためになるのならと」
川上「もう縁があったんですよね」
平岡「孫みたいなもんですよね」
津田「後から話して分かったことで,ヒラオカさんの専務は,私の高校の後輩になるんです。聞くと,醸造所の施工をした工務店の方も同級生らしい。だから,回りまわってみな同じ,関わり繋がりがあったと」
平岡「そこにすごく,縁,運命を感じたんです。最初に聞いたときに,集まった周りの方々の中で,専務の繋がりが結構あったんですよね。繋がりのある同級生が近所に住んでたりと,こういう話ってなかなか聞かないので。ちょうど専務が,江田島市方面を担当してました。その縁で,こちら側のお客さんと繋がっていて。
割とそういう縁が,この話にはあったんです。そして,場所をどこでやるかというところで,津田さんに全面協力していただきました。
津田さんがいらっしゃったから「じゃあ,やろう」と。そういう流れがありました。
また,津田さんは長年,酒蔵をやられてきた経験の中で,ご指導ご協力をすごくいただきまして。本当に感謝しています。
何とか頑張って,ここまで漕ぎつけました。いいものを作って,皆さんに楽しんでいただけるように」
川上「できる限りのことは,我々も協力します」
平岡「本当に,感謝しています。よろしくお願いします」
――古くからの縁が,こうして繋がって,新たな酒造りへと行き着きました。何とも稀有で,素晴らしいお話を聞かせていただきました。本日は,ありがとうございました。
▲麦汁造りや発酵用のタンクが並んだクラフトビール醸造所内部
▲写真左はクラフトビール樽洗浄機
▲中央がビール充填機(写真右:津田さん。写真左:政策推進課川上さん)
クラフトビールは,小規模のビール・発泡酒を職人が作る手工芸(クラフト)の意で,醸造所の設備もコンパクトになる。
早ければ2022年8月に商品ができる予定。
▲関係者の皆さんと醸造所前にて記念撮影。待望の江田島市産クラフトビール,発進までもうすぐです!
“事業者,地域住民,移住者などさまざまな人が関わりあいながら発展する”という思いから,クラフトビール醸造所は『江田島ワークス』と命名されました。
(2022年6月取材)
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【株式会社ヒラオカ】http://www.hiraoka-web.co.jp/
【津田酒造株式会社】https://tsudasyuzo.com/
柿浦交差点(大柿町)の手前にさしかかると,見慣れた光景が近づいてくる。
朝日に照らされた「山野鮮魚店」のひさしの下には,入れかわり立ちかわり,客が訪れる。
店主と椅子に差し向かいで座り,話をしている日もある。
いつも賑わっていて,客が途切れない店とは,どんなところなのだろう――。
接客が落ち着いた昼前に,店主に声をかけ,今回の取材をご快諾いただいた。
77歳の和田さん。年齢を感じさせない快活さで,話していて楽しくなる方でした。
多くのお客さんが和田さんに会いに来られるのが,よく分かります。
母から継いだ「山野鮮魚店」は,柿浦に店を構えてから50年ほどになる。
営業時間は朝7時すぎから,昼はだいたい1時ぐらいまで。
先代の母が店を構える前に使っていた,行商の台車。
ショーケースのカワハギとアジ(昼前に訪れたため,既に他は売れてしまった)。
ナマコとコイワシが人気で,特にコイワシは,よく売れるという。
「8時ぐらいじゃね。その時間が一番(お客さんが来られるのが)多いんよ」
仕入れは,母の代には大原から漁師が持ってきてくれていたが,現在は呉市の中央卸売市場に電話で注文して開店前に運んでもらう。
最近は不漁続きで,魚が以前に比べてなかなか入らないそうだ。
入口そばにあるパイプ椅子と座布団。向かいに置かれた丸椅子にも座布団がある。
「もっと椅子を増やせって言う人もおるんじゃけどね,これ以上そんなにできんわいね」と笑う和田さん。
「(店に来たら)みんな,いろんな話をしてね。近所の話。病気の話。薬の話。それを,ああやったらええね,こうやったらええねと。畑が,はあ(たくさん)草が生えとるとかね。誰も(草を刈りに)取りに来んでしょう。いま空き家が多いから。じゃけん大変なんよとかね。うちは愚痴を言いにくるところ。じゃけど,話すと元気になるから」
入れかわり立ちかわり客が訪れる,歓談が尽きない店という印象は――実際に訪れてみると,外から見ているよりも事情はやや違っていた。
店には,なじみの客,常連さんが殆どで,和田さんと同じく高齢の人も多い。
年月が経てば,自身の不調もあろうし,周辺の環境も変わってくる。
楽しいことだけではなく,悩みがついつい口に出てしまうのは当然だろう。
「(話が済んだら)やあれ,一年分笑うたわい言うてね,帰る人もおる。そりゃあ面白おかしく言わにゃあ,しょうがないじゃない。腹が立つことがあっても,ねえ」
山野鮮魚店では,多い日で5,6件の電話注文が入り,閉店後の午後から配達に出かけている。
店頭と同じように,当日届いた新鮮な魚を下ごしらえして,足が悪くて店に来られない方などに届けている。
「持ってきてもらうから,こうして魚が食べられる。あんたのところの魚じゃけん食べられる」と,そういう声を励みに,配達は約1キロ先の北迫地区にも及ぶ。
取材中にも,店の前で車がとまり,常連客と思しき婦人が仕入れの魚を聞いてくる。
遠くの切串から来られる方もいると聞く。
青果店,パン屋,たこ焼き屋,精肉店など,かつての柿浦商店街には人と店が集まっていた。
商品を買うためだけに行くのではなく,その店に行くのが楽しみとなっていた。人と人との温かいふれあいにあふれた時代だった。
昭和から平成,令和となった今では,近隣の保育園,小学校も閉園,閉校し,商店街の店舗も減ってしまった。
そのような移り変わりのなかで,柿浦で店を続けている和田さんは,この地で暮らす人たちにとって,かけがえのない心のよりどころでもある。
コロナ禍で遠方からの移動が制限される前までは,盆や正月に柿浦に戻ってきて,久しぶりに店に会いに来てくれた方もいたという。
江田島ファンネットが,故郷の江田島市を離れて都市部に暮らす方向けに情報を発信していることについて,お話をうかがうと,
「(こちらに家があるんじゃったら)帰ってきて生活してほしいね。(町と比べたら)不便なところじゃけどね」と和田さん。
店内に飾られた写真は,閉校となった柿浦小学校で,敬老会の手伝いで飾りつけをしたときのお礼。
仕事以外に地元のために尽くされ,参加者の写真に笑顔があるのも,和田さんのお人柄によるものでしょう。
高校野球の強豪校で頑張るお孫さんをデザインしたオリジナルカレンダー。写真は中学生の時に撮影したものだそうですが,既にこの時からフォームが決まっていて,写真映えします。
和田さんが毎年お参りに行っている広島護国神社の熊手。この恵比寿様,大黒様と,下に見える薬師窯の置物を見ていると,笑顔のあるところには笑顔が集まるように感じました。
見慣れた光景に存在する,いつもの店,いつもの人たち――。
その人がいるから,会いに行くために,店へお客さんが訪れる。
ふるさとがあることの大切さを,あらためて振り返るような,貴重な取材でした。
(2021年11月取材)
【店舗情報】
山野鮮魚店
住所:〒737-2211広島県江田島市大柿町柿浦2346
営業時間:午前7時ごろ~午後1時ごろまで(魚が無くなれば早くに終了)
定休日:水,日,祝日(※シケ,台風など天候不良で仕入れが無いときも休み)
江田島町小用港から徒歩約10分。住宅街の中ほどに位置する「もみの木」。開店してから11年になる。
笑顔が素敵な店主の木村さん。そのショーケースには、ずらり並んだ焼きたてのパン。
朝6時には店を開ける。立ち寄るお客さんが焼きたてパンを買い、通勤通学のおともにできる。そんなちょっとした贅沢が、この江田島にはある。
※注)2020年1月6日から、営業開始時間が朝8時からとなります。また、年末年始の営業については、2019年12月25日が休み、年内は31日まで営業します。2020年1月は、1月1日~5日までが休み、6日から営業開始です。
「市外から来られる方は特に、(値札を見て)安いと言われますね」と語る木村さん。平成から令和になって今までに、20円くらいは上がっていると思うが、あまり変わらないのだそう。
「材料費のことを考えると値上げしたいが、タイミングがわからない」と笑う。
取材に訪れたこの日も、次から次へと、なじみの常連さんが来られては、お目当てのパンを買っていかれる。撮影時には在庫があったカレーパンも、昼食どきを待たずに品切れとなった。
それでは注目のラインナップを見ていこう。
ショーケース上のバスケットでまず目を引くのは、遊び心たっぷりの名前がついた「ぴざピザ」。
写真左はチリソース。右は、ちりめんじゃこを使ったピザパン。おつまみとしても人気がある。
定番のラスクは、お得がいっぱい。チーズフランス、ごまパン、くるみパンなど、一袋でいろんな味が楽しめるのは、もみの木ならでは。
ショーケース中段の食パンは、白い食パン、山型食パン、牛乳食パンの3種類で展開。
普通の食パンでは耳の部分が噛みにくい高齢の方でも、この白い食パンなら全部食べられると好評だ。
この牛乳食パンは水を一切使わず、水分は牛乳だけの贅沢さ。食パンとは違う形にしたかったので、金型を使ってドット柄の筒形にした。発酵時間と型抜きに手間がかかるのだそう。
ちなみに、おすすめをたずねてみると「全部!」と木村さん。その中でも、あんパン、クリームパン、新製品のフォカッチャが推しパンだ。
右は、白ごまがのった、つぶあんパン。左は、梅がついた、こしあんパン。
やさしい甘さのこしあんと、濃厚な味わいのつぶあん。このつぶあんの深い甘さは独特で、隠し味なしの砂糖だけで仕上げていることに驚かされる。おすすめかつ人気商品なのも納得だ。
実は、もみの木のパンは、あんこ、クリームは自家製。そして添加物を使っていない。
店内にあるボードには、材料が書かれている。
最初、使っていた粉は外国産だった。仕入れの業者さんから、国産の粉はどうかと勧められたら、これが良かった。今は岡山産の小麦「ゆめちから」を使っている。また、仕入れ業者さんとのやり取りで、藻塩を入れ始めたら、パンの作りがしっかりしてきた。そして今に至っている。
木村さんは、「もみの木」を始める前から自宅で、子供たちが小さいころからパンを、趣味で作って焼いていた。子供たちが「お母さん、おいしいね!」と言ってくれるのが嬉しかった。当時は、テーブルロール、バターロールの2種類だった。
開業のきっかけは、木村さんが市内の福祉施設に勤務していた時のこと。調理の部署に配属となり、料理の上手い人と出会った。また、あんこを炊ける人もいて、学ぶことが多かった。その人たちの影響が大きかった。後に木村さんは、調理師の免許も取り、そこで本格的にパン作りをやってみようかと、店をオープンさせた。
なるほど、もみの木の、あんパンのあんが、他と違う魅力があるのは、これらの経験が生かされていた。
開店当時のラインナップは、山型食パン、牛乳食パン、あんパン(つぶあん)、クリームパン、サンライズだった。
あんパンは、つぶあんだけだったが、「こしあんもいいよ」と周りからリクエストがあり、作るようになった。
次の推しパンは、クリームパン。
素材の味わいたっぷりの絶品クリーム。この、ふわとろ感が、おわかりいただけるだろうか。
チーズフランスは、パンを割ったところから、ごろごろチーズが出てくる。チーズ好きにはたまらない逸品だ。
チーズをこんなに詰めていいのかと、心配になってしまうほどの入れようだ。
ゆめちからと藻塩でつくられた生地とも相性抜群。パンってこんなにおいしいものだったのかと唸らされる。
明太フランス、バジルフランスは近所の人から「明太食べたい」「バジルいれたらおいしいよね」のリクエストに応え、以降のラインナップに加わった。
身近なお客さんが、もみの木のパンのおいしさを知っている。だからこそ、その生地によく合う組み合わせがリクエストになり、商品が生まれる。自分の好きなパンがお店に並び、買える。まさに夢のようなパン屋さんだ。
木村さんが趣味でパンを作っていたころは、お子さんが一番のファンだった。そして今は、お客さんからのリクエストや励ましが、新しいパンを作る原動力になっている。
今秋からの推しパンは新商品の、フォカッチャ。えたじまぐるっとオリーブラリーの対象商品だ。
オリーブオイルをふんだんに使ったフォカッチャは、奥から順に、ローズマリー、バジル、オレガノの、3種類のハーブで揃えた。このハーブは、倉橋島、江田島でハーブとオリーブの栽培を行っているIsolaEssentials(イソラ・エッセンシャルズ)のものを使用。
それぞれのハーブが良いアクセントとなっているので、もみの木来店の際にはぜひ、3種制覇で食べ比べていただきたい。オリーブとハーブともに、江田島の恵みが堪能できる。
ショーケース中段、下段のなかでは、シナモンデニやサンライズも見逃せない。
さくっと食感に大人のほろ苦さが広がるシナモンデニは、ティータイムによく合う。
「シナモンは毛細血管が元気になるからね」と木村さん。味だけでなく、健康面にも配慮されている。
2種類のサンライズ。左のレモン味は、江田島産レモンの皮をすりつぶして入れた、さわやかな風味。右は、香りのいいモカ味。
もみの木のパンは、実店舗以外にも、イベントなどでの出張販売がある。今年の4月末に、能美市民センターで開催された江田島グルメまつりで、このサンライズが登場。好評を博した。
また、11月中旬に国立江田島青少年交流の家で毎年開催されるイベント・フェスティバル江田島でも、すっかりおなじみの出店だ。
写真手前で、食パンのそばにいるのが木村さん。この日に焼いてきたパンは昼前に完売の人気ぶりだ。
(フェスティバル江田島では、写真のように石田スポーツ店との合同出店)
もみの木は週2回、市内への移動販売も行っている。実際にお店に来られた方の口コミ、評判、知り合いから配達先が広がっている。子育て中のお母さんや高齢者など、買い物に出かけにくい人たちのために個別の配送や、減塩や味などを調整したリクエストに応えることもある。その細やかな気配りに、木村さんの人柄が表れている。
新規の配達申込も可能だが、曜日とルートの兼ね合いで、即日配達は難しい。配達の希望があれば、事前に電話で相談してほしいとのこと。
広島市、呉市へ航路があり、レンタサイクルの貸出・返却もできる小用港から近いため、週末や祝日になるとサイクリストの利用が増える。市外からの利用者の中には、3年ほど通い続けている方もおられると聞く。また、転勤で江田島を離れる方が、これから来られる方に、もみの木のおいしさを伝えて口コミで広がることもある。
新しいパンが生み出される、もうひとつの繋がりは、春秋の年2回、能美町中町で開催される「えたじま手づくり市」への出店だった。多くの方と知りあい、つながりの輪が広がった。地元の材料を使ったパンをさらに作れるように、そして、他のイベントへ出店する契機にもなった。
木村さんは「自分ひとりの力では、ここまでお店をやってこられなかったと思いますね。家族や親せきはもちろん、いろんな人に助けてもらったり」と、これまでの道のりを振り返る。
全てが人と人、出会いがつながって、今へと続いている――。
「遠くに出ている同級生が帰省の際に『これからも絶対、お店を続けてね!お店がなくなったら、江田島に寄るところがなくなってしまうから』と言われたことがあります。嬉しいですよね」と木村さん。
夜が明けないうちからパンを作り、朝の6時から夕方6時までが営業時間。週一日の水曜だけが定休日。今秋からはフォカッチャ、地元の栗を使った栗デニッシュと、新作開発に余念がない。出張、移動販売もこなし、市内を駆け回り、できたてのパンを届けにいく。全てはパンを待つお客さんのために。手間を惜しまない。
同級生からの励ましの言葉には、応援だけではなく、多忙な木村さんを気遣う様子も伝わってくる。
もみの木の店の前には、店名の由来である本物のもみの木が植えられている。最初は鉢植えだったのが、今では見上げるほどの高さにまで成長した。それは、子供たちのリクエストから始まった、お母さんのパン屋さんが、出張販売で完売するほどの人気店になった現在の様子に、つい重なって見えてしまうのだ。
クリスマス前にはシュトーレンも店頭に並ぶ予定。江田島にお越しの際は、また、帰郷の折には、木村さんの笑顔と、おいしいパンに会いに来てみてはいかがだろうか。
(2019年10~11月取材)
※注)2020年1月6日から、営業開始時間が朝8時からとなります。また、年末年始の営業については、2019年12月25日が休み、年内は31日まで営業します。2020年1月は、1月1日~5日までが休み、6日から営業開始です。
【店舗情報】手づくりパンの店 もみの木
住所:〒737-2121江田島市江田島町小用3丁目11-12
電話番号:(0823) 42-1985
営業時間: 6:00~18:00
定休日:毎週水曜日(その他、イベント出店時には臨時休業あり)
駐車場:無
アクセス:予約型乗合タクシーおれんじ号(路線:江田島北部線)停留所「中松田」から徒歩約3分
※おれんじ号の詳細については、江田島市ホームページをご覧ください。
おれんじ号を利用しない場合、もみの木へは、小用港から切串方面へ徒歩で10分程度。
小用港から右寄りの山手に見える、江田島市商工会を目印に、奥の道へ、右方向に進む。
国道487号線を切串方面へ。
宇根モータースの先に、停留所「中松田」が見えてくる。
東江漁協の建物を過ぎたら、あと少しだけ進むと、もみの木に到着!
沖美町美能に店を構えて80数年。祖母,父から継いだ後河内商店は,子である現在の店主・後河内学(うしろごうちまなぶ)さんの代から後河内ストアーとして,ご家族で経営されている。
お店に入ると,明るい笑顔とあいさつで出迎えていただいた,後河内ストアーの皆さん。
(写真左が学さん。その右に奥さんと,学さんのふたりのお姉さん)
「お客さんは,昔からの顔なじみの方がほとんどですね。沖美へ移住された方も来られます。最近では(カキの技能実習生で)外国人の方も増えました」と,学さん。
江田島市での高齢化,過疎化による個人商店の減少を補うように,市内のコンビニは江田島町,能美町,大柿町に点在するが,ここ沖美町には無い。美能から,市内の商業施設へ車で出ても30分を超える。そのような立地において後河内ストアーが,日用品,食料品を扱う店舗として,地元に貢献する役割は計りしれない。
今年3月,カキの水揚げ高で10年ぶりに日本一となった江田島市。一方で,担い手の減少により,外国人技能実習生が増加した。80数年続く地元の店を利用するお客さんに,外国人が増えるのも時代の流れといえるだろう。
現在,後河内ストアーは江田島市社会福祉協議会からの委託で,沖(沖美町)方面8か所にて,毎週金曜日に移動販売も行っている。自宅から買い物に行く移動手段がない高齢者の利用が多い。また,商品をじかに手に取って買えることも人気の理由だ。
そして,後河内ストアーが住民から愛される理由は,もう一つある。
「来られる方は,みんな,会話が元気のもとなんですよね」と,学さんは語る。
取材中もいれかわりたちかわり,お客さんが買い物にやってこられる。お店の方と立ち話をしては,商品を選びながら,ゆったりとした時間を過ごす。ネット通販では代替できない,心の通う交流の場が存在し続ける。それはまさに,地域の財産なのだ。
ストアー自体の品揃えが豊富なことも魅力だ。店内に入ってすぐの中央付近は,旬の果物,野菜が良い位置を占めている。温かみのある手書きの値札に,おもてなしの心がある。例えばバナナには「バナナ1本元気のもと!」。見ただけでも元気になれる惹句ではないか。
壁側の冷蔵ショーケースにも,お買得品がずらり。
青果をはじめ,漬物からお菓子,他の食品も充実している。
一般的な売れすじ商品のなかに「牛角 味付き塩にんにくもやし」のような,おすすめ品も見逃せない。
レジ付近にさりげなく置かれた「甘酒大福」など,意外な掘りだし物に出会える楽しみもある。
地元のお客さんに根強い人気を誇る手作り総菜。品数豊富で,肉じゃがやポテトサラダなど,彩り豊かな盛りつけが食欲をそそる。
とりから,肉じゃがなどの定番商品に加えて,「いわしの大葉フライ」「ホタテクリームフライ」「枝豆と紅生姜のちぎり揚げ」など,個性的なメニューにも注目だ。
店の奥に精肉コーナーをもつ後河内ストアーならではの,とんカツ,ビッグカツのお買い得ぶり。
この精肉コーナーでは,タレつき焼肉をはじめ,外国人技能実習生にも好評だ。
飲料,生活用品に加えて,酒や薬,化粧品も扱っている。日々の暮らしに必要なものは,大体ここで買えるといってもいいだろう。
化粧品コーナーは資生堂を取り扱う。
棚に並んでいる以外の薬でも,第2類医薬品などで店に在庫があるものについては出してくれる。
「飲む点滴」「飲む美容液」として人気上昇中の甘酒も,ワンカップで買える。
後河内ストアーは,かきしま海道サイクリングロードのすぐ近くにあるのだが,県道からは店舗が直接見えないため,特にサイクリストの利用は少ないと聞く。「気軽に寄っていってください」と学さん。
中でも美能地区は,瀬戸内の穏やかな海,ゆるやかな時間が流れる島の景色が,行く先々で堪能できる場所だ。次にあなたが江田島を訪れた際には,この後河内ストアーをぜひ,お出かけスポットに加えていただきたい。
(沖美ふれあいセンター付近の美能の海辺。車の通行量は少なく,波の音だけが聞こえてくる)
【店舗情報】後河内ストアー
住所:〒737-2314 江田島市沖美町美能1000
電話番号:0823-47-0137
営業時間: 8:00~19:00(水曜定休日)
駐車場:有
アクセス:江田島バス停「美能」(路線:三高桟橋~中町桟橋)から徒歩約5分
※江田島市内では,平成30年7月豪雨災害の復旧工事が一部で続いており,現在も通行止の箇所があります。
詳しくは江田島市ホームページをご覧ください。
車で行く際は県道36号線を通り,まずは沖美ふれあいセンターを目印に美能へ。江田島SEA TO SUMMITの1日目シンポジウム会場などで,おなじみの施設。
沖美ふれあいセンターを過ぎたら,「美能」バス停まで。ベンチ有りのバス停が店舗に近い。
(向かい側のバス停は,ごみ集積場のそば)
バス停からすぐのところで,「酒・食品 後河内」の看板が見えたら,電柱横の,右の細い道へ。
道幅は狭いが,軽自動車や,車幅によっては普通車も通行可。
店の手前が駐車場(塀からこちらへ,車2列ぶんが駐車可の目安。詳細は店舗利用時にお問い合わせを)。
(2019年8月取材)
筧本回漕店は,切串港(吹越桟橋)に発着する定期航路船の切符販売と,カキや柑橘などの特産物販売を請負う委託販売所。回漕店とは,江戸時代から使われた船問屋の別称だ。(海運業のほかに,現在では総合物流など幅広く展開する事業者もあり,形態はさまざま)
「うちは,100年くらい前,曾祖父の頃から,やってたみたいですね。船の発着に関わる仕事がメインで,十数年前から特産品の委託販売も始めました」
その後,祖父,父へと代がかわり,今は筧本さんご家族で経営。乗船切符販売や港の管理,地元産品の委託販売など,主に従事されているのは,子の筧本語(といもとかたる)さん。2019年4月からは江田島市観光アシスタント「江田島さくらプリンス」としても活動中。ひろしまフラワーフェスティバルで「新時代に届け!フラワーファンファーレ号」花車に,他の市町のプリンセスたちと乗り,会場を盛りあげた。
(花車での写真は江田島市フェイスブックから。左:筧本さん,右:さくらプリンセス・牧野里穂さん)
筧本回漕店で勤務の合間に,今回は取材させていただいた。
実際にお会いすると,さくらプリンスで活動中の写真よりも,細身で引き締まった印象を受けた。
(右手には,切串港の海の駅長・ニホンイシガメの「おはぎちゃん」と一緒に。別ポーズもいただいた)
「友達からは『え,プリンス?キングじゃないの?』と言われるんですよ」と笑う筧本さん。さくらプリンス・プリンセスでは初のアラフォー採用とのことだが,そうと感じさせない若々しさと笑顔が魅力的だ。
そんな筧本さんの普段の姿がよくわかる絵が,港の待合室に飾られている。
暑いなか,さくら海運の制服を着て仕事に励む姿が,フェリーとともに描かれたものだ。
絵の右下のふせんには,「小学生のお客様より」と書かれている。
「もらったのは小学生低学年の女の子で,もう引っ越してしまったんですが,今は小学5,6年生になってますかね」と筧本さん。
筧本さんの髪型や,人の心に残る笑顔。雰囲気と特徴がうまく描かれた作品だ。子供の心にもそれらが伝わっているのだろう。
「おかしのじどうはんばいきありがとう」とは,港の外に,お菓子の自動販売機が設置されたときに,描いて持ってきてくれたのだそう。
待合室に貼られている,こちらの応援チラシ。筧本さんの親戚・筧本翔昴さんは,バレーボールJTサンダーズに所属。今も現役で活躍されている。
アスリートに観光アシスタントと,お二人揃っての俊才だ。
ここからは,筧本回漕店の名物を紹介していこう。
ひとつめは,記事の最初に筧本さんと一緒に登場した,ニホンイシガメの「おはぎちゃん」。この待合室の一角で,港に来られるお客さんを見守っている。名前の由来は「小さい時にうずくまっていた様子が,おはぎのようだったから」。筧本さんが名付け親だ。
「以前,広島港からの便があった頃(現在は呉ポートピアとの便のみ)の話ですが。広島行きの旅客船発着の間に船員さんが “海にカメが泳いどる”って教えてくれたんですよ」
筧本さんは,バケツで海面をすくって,カメを助けた。見ると,左後脚と尾を怪我しており,しばらくは怯えて,うずくまった状態が続いた。その姿から連想した名前で,おはぎちゃんになった。
おはぎのように小ぶりな体が,4年ほど経った今では,片手で支えるほどの大きさに成長した。尾にだけ若干の名残はあるが,見た目には分からないまでに完治した。
カメラを向けると,おはぎちゃんは,こちらに目をやり,ぐぐっとその後脚を伸ばしてみせた。飼い主の筧本さんと同じく,そのサービス精神に驚かされる。
筧本回漕店ふたつめの名物は,「おかしのじどうはんばいきありがとう」の絵に出てくる自動販売機。
外にある2台の販売機のうち1台は,パンと菓子の自販機。ジュースの自販機は当たり付きで110円から。
また,ジュース自販機には昨年秋から今年の冬にかけて,秋葉原名物おでん缶が登場した。選定はもちろん筧本さん。(下の,おでん缶写真は筧本回漕店フェイスブックより)
今回取材の7月には,おでん缶は終了していたが,この夏,新たに月桂冠の冷やし甘酒が登場!
こてんぐおでん缶,月桂冠冷やし甘酒選定の理由は「よそではなかなか見かけないものを入れてみた」のだとか。
港を利用する人を楽しませたい,筧本さんのさりげない気遣いが感じられる。
そして筧本回漕店の最大の名物は,自販機横で不定期に開催する,地元産品の販売だ。
今年の夏も,盆灯篭の販売が始まっていた。広島のお盆には欠かせない,浄土真宗安芸門徒の風習で,お盆の時期にお墓に飾る。初盆は白紙,以降は赤や黄,青などカラフルな色紙や飾りが使われる。
冬場は江田島産カキ(むき身,殻付き各1000円),ミカン,キウイなど,地元生産者からの新鮮な農水産物が並ぶ。お手頃な値段,産地直送の販売は,入荷すると20袋が半日で完売するミカンなど,根強いファンが多い。
(写真のむき身,殻付きは今年冬のときの分量です)
本邦初公開,筧本回漕店自販機横の,地元産品の販売スケジュールはこちら!
筧本回漕店江田島産品年間販売スケジュール(0.11MB)
(※取材時点の2019年7月の情報です。購入時の目安にお使いください。なお,最新情報はページ末の電話番号まで直接お問い合わせください)
筧本回漕店の主な業務は,港に発着する定期航路船の切符販売だ。「知ってる人がいま来てるので,よかったら撮影されますか?」と筧本さんに案内いただき,常連のお客さんへの切符販売中におじゃました。
呉と江田島・切串を行きかうフェリーは,市民にとって,なくてはならない公共交通のひとつだ。
(写真左側が筧本さん。呉側へ渡る常連のお客さん(写真右)との会話も弾み,自然と笑みがこぼれる)
クレアラインに近い呉側をつなぐ海路は,企業を中心に,常連の利用が多い。
降りてくる利用客のなかに,呉側から帰ってきた制服姿の学生を見つけ,「おかえり!」と気軽に声をかける筧本さん。江田島ならではの,温かい心の交流がここにある。
仕事の合間に,フェリー乗務員の方々と写真を撮らせていただいた。親切で,笑顔が素敵な人ばかりだ。
筧本さんの行く先々には笑いが絶えない。ムードメーカーとしての才能が,きらりと光る。
フェリーが離岸した後は,すぐに次の便の時刻表示に掛け替える。次回便待ちの車もほどなく到着し,炎天下のなかで仕事は続く。
そんな筧本さんは,多忙な合間をぬって,江田島の今の様子を動画で伝えている。パロディから時事ネタまで多彩なコンテンツで人気だ。
江田島のユーチューバー「かたるんるん」として名を馳せる。以前からフェイスブックなどのSNSで動画を投稿していたところ,知人からの評判が良いので本格的に始めたのだとか。
(※写真は撮影風景のイメージで,普段は勤務中に動画撮影をされているわけではありません)
スマホをスタンドに固定し,市内某所から全世界のフォロワーに向けて,かたるんるんチャンネル放送!
動画撮影の裏側を激写した,かたるんるんファンにはたまらない,貴重なワンシーンだ。
最後に,江田島ファンネットをご覧になる方へのメッセージを,筧本さんからいただいた。
「来年はオリンピック。海外から来られる方も多いでしょう。日本への観光で『おすすめの場所は?』と聞かれたらぜひ,江田島を紹介してほしいですね!カキの出荷量も日本一で,おいしいし。山と海に囲まれた,豊かな自然,多島美を堪能してもらえれば」
江田島の魅力のひとつである夕景の動画(かたるんるんチャンネル)
【絶景】THE切串遺産 https://www.youtube.com/watch?v=SKIeheVgYg8
※かたるんるんチャンネルでは,筧本回漕店に入荷したばかりの地元産品紹介も行っているので,見逃しのないようにチャンネル登録をおすすめしたい。
【店舗情報】筧本回漕店
住所:〒737-2111 江田島市江田島町切串1-1-19
電話番号:0823-43-0102
営業時間: 5:30~21:30(年中無休)
駐車場:普通車で28台
SNSアカウント:
・フェイスブック「筧本回漕店」
https://www.facebook.com/toimotokaisouten/
・YouTube「かたるんるんチャンネル」
https://www.youtube.com/channel/UC_H1zzi0XV0kpAejKJLHzGA/featured
・インスタグラム
「さくらプリンス」https://www.instagram.com/etajimasakuraprince/
「かたるんるん(※個人アカウント)」https://www.instagram.com/katarunrun/
アクセスについて
切串には港が2つあり,筧本回漕店は,天応(呉ポートピア)間航路の吹越桟橋側にある。
1)もうひとつの切串港・西沖桟橋(以下,切串港西沖。宇品港行き)方面から来る場合
切串港西沖港の前の,県道287号線から国道487号線へ進み,
切串小学校を過ぎて,黄色標識のところで右折。
青の案内標識が見えたら左折。
交差点から先は,狭い道が続きます。
フェリー到着直後の時間帯は,対向車が多くなるので注意です。
しばらく道なりに進むと,吹越桟橋・筧本回漕店です。
2)小用・大柿・呉方面から来る場合
国道487号線を上へと進み,ENEOS切串サービスステーションを過ぎて,
青の案内標識で右折。交差点から先は同じです。
(2019年7月取材)
昭和62年3月に設立。1階が大柿地区歴史資料館。2階は大柿町出身の政治家・灘尾弘吉(なだおひろきち)氏の蔵書,関係写真を展示しています。
近年では,生誕150周年記念の六角紫水展(平成29年),海軍兵学校江田島移転130周年記念地域交流事業の海上自衛隊第1術科学校教育参考館特別展,タイムカプセル開封記念の灘尾弘吉展(いずれも平成30年)を開催。平成30年度の来場者数は2,000人を超え,市外,県外からも人気の,江田島市の学習施設です。
年末年始と月曜日,祝日以外は開館日。職員の方に,館内の展示についてお話をうかがいました。
1階受付では,館内の古文書を現代文に直した冊子を頒布しています。
年1回のペースで発行される冊子は11冊の既刊があり,歴史好きの方に好評。在庫が残っているものは受付に並んでいます。
この大柿地区歴史資料館では,古文書や土器,継承された数多くの文化財ほか,貴重な資料が見られます。
(展示物は定期的に入れ替えがあり,写真にあるのは取材時のものです)
文政2年(1819年)の柿浦村(後の大柿町柿浦)。
楠田など,バス停の地名でもおなじみの場所が確認できます。
平安時代以来,食物を盛って他の所へ運ぶために使われていた「行器/外居(ほかい)」。
このあたりでは「負荷(ほっかい)」と呼ばれていました。
銘々膳(めいめいぜん)とも呼ばれた,ひとりひとりの食器を収納する「箱膳(はこぜん)」。
昭和10年ぐらいまで日本の食卓で普通に用いられていました。
能美城跡などの近くで出土した,中世のものとみられる土器も展示しています。
下の写真の「大原12景の発句」は,広島の俳人12人による大原12景の句を新宮八幡宮に奉納したものです。
芭蕉(ばしょう)の門人を師とした大原出身の閑考庵雨丹(かんこあんうたん)は,芸備の友人らと頻繁に俳句会を催しました。俳句をたしなむ文化が根づいたこと,そして当時の盛況ぶりが伝わる資料です。
また,大柿町出身で漆工(しっこう)のパイオニア・六角紫水(ろっかくしすい)の作品やパネルも充実しています。
過去に出版された広島県立美術館の図録のほか,コミックス「ゼロ THE MAN OF THE CREATION」(集英社/原作:愛英史(あいえいし),絵:里見桂(さとみけい))に六角紫水が取りあげられた巻も展示。選りすぐりの,幅広いジャンルから資料が揃っています。
続いて2階の,江田島市灘尾記念文庫。階段を上がった先に見えるのは,灘尾氏の写真に略年譜と,
ジュネーブ国際労働会議洋行時の鞄です。平成18年に江田島市を訪れた,西洋アンティーク評論家・鑑定士で知られる岩崎紘昌(いわさきひろまさ)氏によると100万円の価値があるとのこと!使い込まれた様子は経年の劣化と相まって,その時代の空気もまとっているように感じられます。
灘尾氏は東京帝国大学卒業後,内務省に入省。41歳で大分県知事,後に広島県知事の勧めで衆議院議員に立候補。連続12期31年にわたり衆議院議員に在職し,その間に文部大臣,厚生大臣,広島県から初めて誕生した衆議院議長などの要職を歴任。国政の発展,国民の福祉の安定に努めました。
灘尾記念文庫は,このような多くの偉業を成した灘尾氏が長年所蔵,愛読した書籍を直接手に取り,読むことができる場所です。
1972年,田中角栄(たなかかくえい)首相の日中国交正常化で,日本が台湾と国交断絶した後に,灘尾氏は自民党内で親台湾派の中心的存在として日華交流の窓口になりました。蒋介石(しょうかいせき)総統との会談を経て,以降も台湾を何度も訪問し,両国の関係を維持しました。日本に数点しかない国立故宮博物院からの寄贈図書,1~120巻が展示されています。
パネルとともに,愛読書や使用していた教科書なども見られます。
児童図書,美術書など多くの図書が貸出可です。また,持ち出し禁止の本はここで読むことができます。郷土資料も充実しており,平家の落武者伝説を調べに来られた方もあったそうです。
本土側の呉と江田島をつなぐ早瀬大橋は,昭和48年に開通しました。
足掛け10年に及ぶ早瀬大橋架橋事業は,広島県が国庫補助によって行ったもので,最終ブロックの閉合式では,日本初の金のボルトを使用。島民47,000人の長年の願望であった本土直結が実現したのです。
ドッキングの際のボルトと,開通式テープカットのハサミが展示されています。
水不足に悩む安芸灘諸島に,初めて広島市の太田川から給水した広島用水事業の創設と並び,この早瀬大橋架橋もまた,郷土発展のために灘尾氏が大きく貢献しました。
2階では,平成30年に広島市で行われた灘尾氏の顕彰像建立記念タイムカプセル開封記念行事の様子や,足跡をたどる映像ソフトが視聴できます。
同じフロアには,1階で頒布されている翻字(古文書を現代文に直したもの)冊子の全既刊を展示。
また,古文書を解読する「江田島市翻字の会」は,歴史資料館の展示物を後世に伝えていく有志の集まりで,月に1回,メンバーが,この資料館で研修をされています。年1回の刊行ペースで,今までに編纂した本は11冊。平成24年には,長寿社会における高齢者の社会参加活動の模範として,内閣府特命担当大臣表彰を受賞しました。
バス停,国道も近く,アクセス良好のこの地で,大柿町の歴史にふれてみてはいかがでしょうか。
また,この夏も,海上自衛隊第1術科学校教育参考館の特別展が開催されます。こちらもどうぞお楽しみに!
【基本情報】大柿地区歴史資料館・江田島市灘尾記念文庫
住所:〒737-2213 江田島市大柿町大原1丁目1068-6
電話番号:0823-57-6420
開館時間: 9:00~17:00
休館日:月曜日・祝日・年末年始(※特別展準備のため,2019年7月14日(日)~19日(金)まで休館)
アクセス:国道487号線沿い,江田島バス「大柿老人福祉センター」バス停から徒歩約3分
駐車場:資料館隣の駐車場に普通車で10台程度可
公共交通利用の場合,資料館へは,江田島バス「大柿老人福祉センター」バス停から,青の案内標識を目印に進みます。(写真下の長坂建材前と,ホームセンタージュンテンドー側にバス停あり)
青の案内標識からローソン側の右方向,細い道に入るとすぐに,灘尾弘吉胸像が見えます。
道路を隔てて資料館向かい側に駐車場があります。普通車で10台程度可です。
(2019年5月取材)
江田島町鷲部の長田製菓舗。古鷹旅情や安芸の詩など,江田島でおなじみの菓子を作り続けている。自家製あんが好評だ。
店主は3代目の長田朋幸さん。初代の祖父は大柿町出身で,戦後,中国にいる親戚のところで菓子づくりの修行を積んだ。その後,いまの大柿町大原で創業した。昭和38年頃に,鷲部の現在の店舗となる。祖父と父で店をやっていたが,2代目の父に代わったのは平成15年頃だ。
朋幸さんは,高校生の頃から菓子作りを手伝っていた。市外にサラリーマンとして勤めてからも,休みの日などの合間で家業を助けていた。しかし2代目の父が他界し,急きょ朋幸さんが3代目として後を継いだ。平成28年のことだ。「いままで家族で分担していたのが,今度は自分と母のふたりで菓子作りを続けていく,そこがしんどかったですね」と当時を振り返る。
祖父と父の時代から続く,江田島しぐれ,栗の味,古鷹旅情,安芸の詩は,江田島みやげの定番として広く知られている。「江田島しぐれ」は,薄皮にぱんぱんに詰まった抹茶あんと,栗入り白あん。
「栗の味」は,こしあんで栗を楽しめる。
「安芸の詩」は,第2回えたじまブランド認定品に選ばれた。栗,梅,桃の3種類(梅は紺と赤の色違い包装)。桃は朋幸さんが新しくラインナップに加えた。それぞれ栗,梅の甘露煮,桃のシロップ漬けを黄身あんで包み,上品な甘さが,ひとつ,またひとつと食べたくなる。
満月のような色と形は,見た目にもかわいらしい。
(※下の写真は栗)
この2点も朋幸さんが始めた。右の「やきいもさん」は,てくてくのさつまいも本舗(峰商事合同会社)とのコラボ商品。さつまいもペーストから作ったいもあんを入れた,焼きまんじゅう。
左の「チョコくるみ饅頭」は,上にワンポイントのくるみ。中を割ると,
薄皮に包まれた,たっぷりのチョコあんには粒々のくるみ。ショコラケーキのような濃厚な味わいの逸品だ。
また,2代目の父の頃からあったカステラを定番メニューとして加えた。大人数で食べたいボリュームたっぷりの大サイズから,気軽に買って楽しめるカットサイズまで,懐にやさしい品揃えだ。
カステラは,あんずと木苺の2種類。卵がきいたしっとり生地に,ジャムがとろりと中からしみ出る,あんずカステラ。
ココア生地の木苺は,食べた瞬間にふわりと広がる風味が良く,どちらも甲乙つけがたい。
(下の写真は木苺カステラ・サイズ小のカット例)
ベストセラーの「古鷹旅情」は,さくっと香ばしく甘いブッセで,ほどよいブルーベリージャムの酸味が特徴だ。
ブラウザゲーム「艦隊これくしょん」(通称「艦これ」)に登場する人気キャラクター「古鷹」つながりで,平成26年,江田島海友舎で行われた艦これ同人誌即売会イベントにて,限定パッケージ版の古鷹旅情が販売され,好評を博した。
(イベントまとめ記事リンク:https://togetter.com/li/687112?page=2)
3代目を継いだ朋幸さんは,新作への挑戦も意欲的だ。わずか3年の間で,安芸の詩の桃味,やきいもさん,チョコくるみ饅頭,水まんじゅうをデビューさせた。
水まんじゅうの販売は今年の5月から始めた。
5月~6月のおすすめは,いちごを使った水まんじゅう。
いちご入り水まんじゅうは,沖美ベジタ(https://okimivegeta.com/)とのコラボ商品で,いちごが丸ごと入っている。新鮮な甘酸っぱさと,水まんじゅうのやさしい甘さがよく合う。
ストロベリーは,いちごあんを使った,より和風の味わいを楽しめる。
いずれも期間限定で,5月~6月いっぱいまで販売の予定。
水まんじゅうは,こしあん,抹茶の定番のほかにも,マンゴーも作られている。
マンゴー味は,口の中に南国の風が広がるような爽やかさ。これからの暑い季節にぴったりだ。
(写真左上:ストロベリー,右上:マンゴー,左下:こしあん,右下:抹茶)
沖美ベジタ,てくてくのさつまいも本舗と,江田島の他店コラボによって,次々と新しい味が生み出されている。
いちごやさつまいもをはじめ,良質でおいしい素材が手に入る,自然に恵まれた江田島ならではの菓子作りだ。
お客さんは,古くから店を知る常連さんのほかにも,外にある「あんずカステラ」などの幟をみて,店を訪れる方もおられると聞く。祖父と父から受け継ぐ味と,3代目となった朋幸さんが手がける新製品の登場に,これからも目が離せない。
「時代に合ったもの,地元の素材を使ったものをこれからも作っていきたいですね。江田島にお越しの際には,気軽に寄っていってください」と朋幸さんは語る。
【店舗情報】長田製菓舗
住所:〒737-2133 江田島市江田島町鷲部1丁目15−16
電話番号:(0823)42-0174
営業時間: 9:00~17:00
定休日:火曜日
アクセス:江田島バス「江田島図書館前」バス停から徒歩約2分
駐車場:店舗右隣の空き地に普通車で6台程度可
広島えたじまブランドホームページ:https://etajima-brand.com/
県道44号江田島大柿線を,呉側から小用方面へ進み,江田島図書館前バス停から徒歩2分程度。黄色いひさしが目印。
店の手前に立っている幟が,その日にショーケースに並んでいる菓子を示している。
水まんじゅうは材料の仕入れにより品揃えが変わるので,気になる味があれば事前に電話で問い合わせてほしいとのこと。
駐車場は,幟が立っている空き地に,普通車で6台は停められる。
(2019年5月取材)
自然の中で丁寧に飼育された鶏・豚使用の地鶏キッチンで、じわじわとファン増加中のポークアンドチキン江田島。今回は、2018年7月からスタートした「体験型農家民宿 ~Farm stay~」をご紹介。
1泊2食(夕食・朝食付き)で夕食は江田島ポーク・江田島地鶏バーベキュー。
1日1家族または1グループ限定で、2名~8名。
プロモーションビデオに出てくる「パスポート不要の海外旅行」とは、一体どのようなものなのか……?
「民宿って言うてもね、うちに泊まってもらうんよ。一緒に生活してもらう感じでね」
江田島ファンネットでは2度目の登場(初回は2016年夏)、下野社長の案内で、民宿=ご自宅にお邪魔させていただいた。レンガ作りのこの建物が宿泊先だ。
日本最大規模のれんが工場をもつ松本煉瓦株式会社(竹原市)のれんがが使われている。木材の質感・色合いともに温かな空間を演出する。
細い階段を上がった先にロフトがある。宿泊室は2室。こちらはベッド2台の部屋。
取材日はあいにくの曇り空だったが、晴れていれば、視界良好の広島湾が目の前に広がる。
こちらがもうひとつの部屋。木のぬくもりと屋根の傾斜が醸しだす風情は、子供の頃に憧れた秘密の部屋を彷彿とさせる。
2部屋併せてベッドは4台。ベッドではなく床で就寝を希望する場合などにも対応でき、最大で8名宿泊可。ちなみにホームページの民宿紹介に「昭和の暮らし,エアコンのない生活」とはあるが,実際には夏は涼しい風が入るし、夏は扇風機,冬はストーブや電気毛布など用意し,不便のないよう泊まれるとのこと。
宿泊室の案内で目にとまった、壁の皮。ニュージーランドで50年前、自らライフルで仕留めた鹿で、皮の加工もご自身でされたそうだ。ワイルド!
「喧騒から離れた非日常の空間で生活することで、心身共に癒していただきたい」と、下野社長。
民宿メニューに含まれる「夕食は当農場生産の江田島ポーク・江田島地鶏でバーベキュー」。ポークアンドチキン江田島は地鶏キッチンで知られるように、広い農場も見どころだ。
江田島ではおなじみ、5月の地産地消まつりで人気の、卵ひろい体験の場所にもなっている。名古屋コーチン、黒シャモ、もみじ。鶏の飼育数は約3000羽。オプションとはなっているが、卵ひろいや家畜の世話を行うことで、民宿プログラム全体を通して、貴重な食育が体験できるようになっている。
民宿メニューの夕食バーベキューは、自宅外のテラスで食べられる。日帰りメニューでも人気のこのバーベキューは、バーベキューコンロ、椅子、テーブルは人数によって配置をかえられる。最大で50人まで対応可。酒類、飲み物はメニューに含まれないので持ち込んでよいとのこと。
レンガ作りの下野社長宅の手前にあるこの建物は「江田島乗馬クラブ」。もうひとつの民宿オプションメニューの乗馬体験で立ち寄る、休憩所兼着替え室となる。暖色系の下野社長宅とは対照的な青を基調とし、異国感あふれる風合いが細部に巡らされている。
シャワー室とトイレは同タイプがもう1つあり、男女別で分かれている。
ロッカールームのデコレーションにも、遊び心ともてなしの気持ちが伝わってくる。
梁に並ぶ乗馬キャップ。
この日は、江田島乗馬クラブの青い建物から斜め上に、1頭がお出迎え。他にも4頭が厩舎にいる。
乗馬体験、農場体験をまとめて体験。コンパクトな中にもぎゅっと旨味が詰まった「体験型農家民宿 ~Farm stay~」。クリスマス、お正月も休まず営業されるとのこと。「(注文があれば)鶏の丸焼きもできますよ!」と下野社長。
※注:食材の手配の都合上、バーベキューなど含む予約は3日前まで
ここでしかできない体験と味を求めて,ポークアンドチキン江田島まるごとツアーへ出かけてみてはいかがだろうか。
【店舗情報・問い合わせ先】ポークアンドチキン江田島
住所: 〒737-2111 江田島市江田島町切串3丁目10-21
電話番号:(0823)43-0567
ファックス:(0823)43-0579
ホームページ:http://p-and-c-etajima.com/
(※農家民宿および営業日,時間については電話にてお問い合わせください)
駐車場:店舗下の「P」看板にある場所に普通車で3台程度駐車可
アクセス:切串港から徒歩約5分⇒ホームページ内のアクセス情報
駐車場は「P」の看板が目印。車はここに停めて、
レンガ作りの建物を目指せば、ポークアンドチキン江田島に着きます。
1976年12月,鹿川でお店を始めた「すし柳」。新店舗の中町へ移ってからは,5年目となる。
広島,大阪,神戸で,寿司職人として修業を積んだ大将。
すし柳は,大将と女将さん,そのご家族で,お店をされている。
地元の漁師から仕入れた,江田島の魚を主に使っている。
島根のノドグロ,北海道のサンマなど,良いと思った魚は,外から仕入れている。
このカウンター席は7~8人程度で利用できる。
少人数でゆっくりと楽しみたい人向けには,個室がおすすめ。4~6席で,2室。
古くからの,すし柳ファンには嬉しい座敷席もある。レイアウトを変えれば20人程度まで入れる。
掘りごたつ式の部屋は1室。8~10人で利用可能。
冷酒はメニューにある瓶だけでなく,グラスでも提供している。酒屋さんのおすすめ,お客さんからのおすすめも入れているとのこと。高知や山形の酒,そして雨後の月がよく出ているそうだ。
お昼のサービスランチは2種類。
こちらは,ちらし寿司セット。ちらし寿司,茶わん蒸し,吸物,小鉢が税込1000円で楽しめる。
ちなみに昼どきには,すし柳定食,夕方からは,剣先いか姿焼き,クジラしょうが焼き,白肉たたきが,それぞれ人気のメニューとのこと。すし柳定食は,昼でも夕方以降でも注文できる。
白肉のたたき。食感のよさと肉の旨味がたまらない。
すしから一品料理に至るまで,目移りしてしまうラインナップだ。
では,おすすめの「すし柳定食」を……。
あつあつの天ぷらに,
そして刺身!
にぎり寿司!!
今日のデザートは,マンゴー入りの抹茶プリン。
新店舗にかわってから「一人でも入りやすくなった」と,若い女性客が増えているとのことだが,店の構えに加えて,このデザートへの心配りも嬉しいところだ。
刺身,天ぷら,にぎり6ヶ,吸い物,茶わん蒸し,本日のデザートが揃って,2600円(外税)!
江田島に住んでいて良かったと,つくづく思わせてくれる瞬間だ……。口福のひとときを堪能した。
大将の「おいしいものを,食べやすい価格で提供したい」思いから,鹿川の頃と変わりない値段で出している。
鹿川の頃といえば,口コミでお客さんが増えていったことや,道沿いから若干奥まった立地もあり,家庭的・隠れ家的な印象があったが,こちら中町に移っても,親子や3世代に渡って利用しているお客さんも多い。
「今じゃ4世代目を連れてくるお客さんもいるよ!まだ小さいから,さすがに寿司は食べられないけどね」と笑顔で話してくださった大将。他にも遠方から,『また来ました!年に一度来るのが楽しみで……』と言いながら,来る回数が増えてるお客さんもおられるとか。
その心温まるエピソードの数々はまさに,新店舗になっても,地元に長く愛されるお店として続いている証といえよう。
さて,今回の10月取材時は,「えたじまぐるっとオリーブラリー」の真っ最中であった。
すし柳で食べられるオリーブメニューは,従来メニューにもある「いかアスパラうに炒め」と,
今回のラリーでお披露目の新規メニュー「さんまフリットマリネ」の2種類が楽しめる。
海の幸,山の幸をいかした繊細な味わいに,オリーブオイルのハーモニーが際立つ逸品だ。
※市内16店舗でオリーブオイルやオリーブの実を使ったメニューを提供する「えたじまぐるっとオリーブラリー」の詳細はこちら(江田島市ホームページへのリンク)。
えたじまぐるっとオリーブラリーは,2018年10月6日~12月16日まで開催中です。
【店舗情報】すし柳(すしりゅう)
住所: 737-2301 江田島市能美町中町4868-1
営業時間: 11:30~14:00(ラストオーダー13:15),17:00~22:00(ラストオーダー21:15)
定休日:毎週月曜日
電話番号:(0823)45-4560
駐車場:店舗手前側に普通車で5台,裏手に8台駐車可
アクセス:中町港から徒歩約5分
港のある海側とは反対に,山手へ向かい道なりに進むと,看板からすぐに辿り着く。
★「てくてくのさつまいも本舗」をはじめ、江田島の味はこちらからお取り寄せできます→オンラインショッピング
さつまいもスイーツ専門店「てくてくのさつまいも本舗」。
7月30日(月)からのプレオープンを経て,9月15日(土)にグランドオープンする。
(※10月5日時点で,グランドオープンが当初予定の9月15日から,10月7日となる旨,発表がありました→フェイスブック)
プレオープンからの取扱商品は,スイートポテト,テクラーナ,Grazieプリン,もみぢ饅頭てくてくの4種類。
店長の堀部さんから,そのラインナップをご紹介いただいた。
スイートポテトは,お手頃価格で登場のミニが110円。
食べごたえのある,さつまいもの形そのままサイズは,2.2円/グラムでの販売。
素材の味そのままの,さつまいもが楽しめる。
江田島育ちの紅はるかで作られていて,農薬不使用とのこと。
Grazieプリンは,「てくてくのさつまいも本舗」の前に,同じ場所でプリンなどを販売していた「Grazie(グラッチェ)」から,レシピを伝授いただき作られたプリン。
江田島産のたまごを使ったプリンは,なめらかで,やさしい甘さ。Grazieからのファンも多い。
テクラーナは,てくてくオリジナルのカタラーナ(焼きプリン)。
さつまいもペーストとカスタードクリームの2層仕立てで,店内で5分ほど時間をかけて表面を焼いてくれる。
パリパリの表面からのぞく,このとろみ加減がたまらない。
同じ取材日に訪れた広島市職員の方も,そのおいしさにたちまち虜に!
「もみぢ饅頭てくてく」は宮島の老舗・高津堂製造のコラボ商品。
和風は,さつまいも餡。バターや牛乳を練りこんだスイートポテト餡が洋風で楽しめる。
日持ちのするお土産に,箱入り(6個,10個)もおすすめだ。
プレオープン期間の販売商品は4種類だが,グランドオープンではタルトなどを追加し,10種類に増える予定。
店舗内にある調理場にて,できたての新製品を激写。グランドオープンでのお披露目が待ち遠しい。
下準備された餡。ひとつひとつが丁寧に,手間をかけて作られているのがわかる。
棚に並ぶ「江田島芋焼酎てくてく」は,焼酎製造を中国醸造に委託している。続いての「もみぢ饅頭てくてく」と,看板商品が次々に生み出された。2015年にはこの2つが,第1回えたじまブランドとして認定された。
「てくてくのさつまいも本舗」を経営するのは,峰商事の社長・井上さん。
大柿町飛渡瀬のカーライフキューティーで,自動車の板金塗装などを行っている。
もともと井上さんは,農業には全く縁がなかった。しかし東日本大震災の後,ボランティアとして現地に出向き,災害に苦しむ農家の方と接するうちに,今後の農業について考えるようになった。
かつて農業が盛んだった江田島は,作り手の高齢化にともない,耕作放棄地が増えてきた。
荒れた島の耕作放棄地を何とかしたい一心で,仲間とともに始めたさつまいも栽培。市内の耕作放棄地を計4000平方メートル借りて紅はるかを育て始め,2018年夏現在で約3ヘクタール。今秋の収穫量は50トンを予定。
収穫したさつまいもは,柿浦の工場で機械を使い,1か月かけて熟成させている。
てくてくといえば,さつまいも餡入りの二重焼きもすっかりおなじみに。
えたじま地産地消まつり,まるとくフェア,ひろしま「山の日」県民の集いなど,多くのイベントにも出張。ピンク色の移動販売車が向かう先は,いつも行列ができる。
そして,満を持しての,さつまいも専門スイーツ店の開業。
これから涼しくなる季節にぴったりの,二重焼きも店舗で買えるようになる。
「てくてくのさつまいも本舗」が連れてくる実りの秋の数々。ぜひお店を訪れてみてはいかがだろうか。
【店舗情報】
てくてくのさつまいも本舗
住所:737-2213 広島県 江田島市大柿町大原261-1(藤三大柿店駐車場内)
営業時間:10:00~18:00(売り切れまで)
定休日:毎週火・水曜日
電話番号:(0823)40-3399
HP:https://tektek-satsumaimo.co.jp/
フェイスブックアカウント:https://www.facebook.com/etajimatektek/
「海辺のカフェ ヒキシマ」は2017年3月,大柿町大君にオープンした。
白い壁に店名ロゴの青色がよく映える。
テーブル席とカウンター席のある店内。空きがあれば,海と引島が見渡せる4人掛けのテーブル席がおすすめだ。
店舗は江田島警察署大君駐在所付近にあり,旧道沿いのため車や人の通りは少ない。
海辺の景色を眺めながらゆっくりと寛げる。
目の前にうかぶ引島が,店名ヒキシマの由来となっている。「地元でさえ知らない人もいるこの島を,もっと知ってもらいたい」そういう思いが込められている。
ヒキシマの名物メニュー・イモ氷を発案・開発した店長の卓也さん。
モーニングや日替わりランチなど,栄養満点の手づくり料理を提供する料理長「おかん」こと,ひろ子さん。
もとは牡蠣の加工場だった建物を,このようにおしゃれな店舗に生まれ変わらせた,DIYの達人,逸男さん。
各分野の腕自慢揃いともいえる山野さんご家族が,ヒキシマを経営している。
(※取材にうかがった8月上旬。この日は不在だった卓也さんにかわり,逸男さんと,ひろ子さんに,お店のことやイモ氷のお話を聞かせていただいた)
開店時間は朝7時。11時までならモーニングが食べられる。
そして11時からは,日替わりランチが登場。
取材にうかがったこの日は,目玉焼きの下からハンバーグが2個も出てくる充実ぶりを堪能!
モーニングだけでなく,ランチにもコーヒーがついてくる。
トーストモーニングは500円,日替わりランチが750円(各税込)。
いずれも品数とバランスに優れ,料理長「おかん」の思いやりが感じられる。このお値段でいただいていいんですか?と,つい恐縮してしまう。
そして,ヒキシマといえば,名物イモ氷(税込450円)!
江田島産のさつまいも紅はるかのペーストをのせたかき氷は,店長・卓也さんの自信作だ。
このイモ氷,すくってみると,ふわとろ感のある,しっとりした粒であることに気がつく。
台湾式のかき氷ができる,かき氷機を使っているからなのだとか。この細やかな食感の工夫が,イモと練乳のおいしさを,より引き立てている。
氷には,バニラアイスと白玉のトッピングが各150円で付けられる。
バニラアイスと白玉,全部のせで食べてみるのも贅沢な味わい方だ。
ちなみに氷メニューは年中提供。いつでもイモ氷はヒキシマで待っていてくれる。
イモ氷1杯に使われる,山盛りのかき氷。これが,ぎゅっとガラス器に入るサービスぶり!
イモ氷と並ぶメニューの黄金焼(さつまいものおやき)も,お手頃価格でおすすめ。
焼きたての生地は,もち米とさつまいもからできている。
イモ氷と同じく,素材のおいしさを活かした名物メニューだ。
ところで,このイモ氷や,黄金焼は,ヒキシマの店内だけでなく,広島市,呉市,江田島市のイベントでも食べることができる。
実は店長の卓也さんは,艦これ(戦艦を擬人化した育成シミュレーションゲーム「艦隊これくしょん」)イベントの広島スタッフとしても活躍している。広島イベント開催時に,江田島の食材を使ったメニューはできないものかと考えた。
それが,イモ氷誕生のきっかけになった。
さつまいも作りを手掛けている,同じ江田島市内の峰商事合同会社の社長・井上さんと,卓也さんは以前から交流があり,メニュー開発の際に,さつまいもペーストを紹介された。
氷ぜんざい式に,さつまいもペーストとかき氷をまぜてみると,おいしい,いける。
2017年6月からの試行錯誤を経て,7月頃からヒキシマでの販売を始めた。夏場の新メニューとして人気となった。来店客が多いときには店内だけでは収まらず,外に長机を運び,そこで食べてもらったこともあったそうだ。
そして,「江田島グルメまつり」で,イモ氷,黄金焼がデビューした――。
(江田島グルメまつりホームページ:https://etajimagurumemathu.wixsite.com/homepage)
江田島グルメまつりは,第1回が2017年3月に旧能美海上ロッジ,広島市や呉市音戸町への出張版が各1回ずつ,第2回は同年11月に三高山砲台跡駐車場で行われた。卓也さんは,グルメまつりの実行委員長も務めている。江田島グルメまつりは,艦これイベントの際に江田島市内にあるおいしいものを集め,来場者に楽しんでもらう企画だ。
イモ氷に加えて,秋冬新作でお披露目となった黄金焼,オリーブファクトリーからの牡蠣クラムチャウダー,ポークアンドチキンの地鶏から揚げなど,ヒキシマをはじめ,江田島グルメが勢ぞろいした。
好評を博した様子は,江田島グルメまつり実行委員会ツイッターアカウント(https://twitter.com/etajimagurume)からもうかがえる。
そして,ヒキシマ誕生にあたっては,店長の卓也さんが「江田島をもっと盛りあげたい」という気持ちから生まれたと聞く。その経緯をたどれば,江田島グルメまつりの存在とも重なる部分がある。
ホームページ内の江田島グルメまつりの紹介には,こう記されている。
『“島の味を皆様に!”
広島県江田島市には昔ながらの味から最近出たばかりの味までいろいろな味、つまりグルメがあります。
私たちは少しでも多くの方に江田島のグルメを知ってもらいたい、そしてまた江田島に来るきっかけにしたい。
そういう気持ちでこのイベントを立ち上げました。
(中略)
これからも江田島の味を発信、そして私たち自身も再発見していきたいと思っています。』
まるとくフェア,切串おかげんさんまつり,サマーフェスタ江田島,フェスティバル江田島,マママルシェなど,飲食系の店舗が参加する江田島市でのイベントは他にも存在する。
その中で,歴史としてはまだ始まったばかりではあるが「江田島をもっと盛りあげたい,江田島の味を再発見していきたい」熱い志が伝わる,そんな新しい風を,江田島グルメまつりが,そして卓也さんが手掛けたイモ氷とヒキシマが,届けてくれるのではないだろうか。これからの動向にも期待したい。
【店舗情報】
海辺のカフェ ヒキシマ
開店時間:午前7時~午後4時まで(モーニングは11時まで。ランチ11時から)
定休日:毎週火曜日,第2水曜日,第3日曜日
住所:〒737-2212 江田島市大柿町大君3211-6
SNSアカウント:ツイッター(https://twitter.com/cafehikishima)
フェイスブック(https://www.facebook.com/cafehikishima/)
電話番号:(0823)57-4560
駐車場:普通車で5台程度駐車可
県道44号線のヒキシマへの分かれ道は,案内看板が目印(江田島方面,呉方面からの両側に有り)。
この看板の奥にヒキシマがあります。
江田島町中央,海上自衛隊第1術科学校の手前に位置する「陶器・生活雑貨『うねがわ』」「ミラベル」。
入口に置かれたメニュー。手書きのタッチがやさしく出迎えてくれる。
吊り下げ看板の,ミラベルの文字の上には「サチコの手づくりケーキ」。
一緒に描かれているフランスの果実=ミラベルが,店名の由来になっている。(日本では「西洋すもも」)
1985年8月23日の創業から,現在に至るまでのお話を,宇根川幸子さんに伺った。
「私は,若い頃からお菓子やお料理を作るのが好きでした。最初,中国新聞女性教室でケーキ作りを10年学び,その後,広島のフランス菓子の「ポワブリエール」で4年間働き,自分の店「ミラベル」を開きました」
ケーキには添加物を使っていない。自分の家で,お菓子を好きな子供に作るように,安心・安全なものを食べてもらいたいという気持ちから。
それぞれのプレートに並ぶケーキの数はやや控えめだが,「できたてのおいしさを届けたい,新鮮なうちに食べてもらいたい」そんな幸子さんの心遣いからこのようなショーケースとなっている。
個数がもっと必要なときや,ホールケーキなどは,事前に予約をいただければ対応可能とのこと。
洋酒をきかせたラムレーズンのほろ苦さが,チョコと程よく合うショコラ。
レモンが良いアクセントとなり口の中に広がる,チーズ好きにはたまらない,チーズスフレ。
こちらもチーズ好きにはたまらない,レアチーズケーキ。
いずれも,見た目の大きさ以上に,満足感がある味わいだ。
値札をよく見るとケーキ1個300円,シュークリーム160円!(いずれも外税)
創業時から変わらないという,懐に優しすぎる据え置き価格にも驚かされる。
ケーキ以外のお菓子も充実している。焼菓子の詰め合わせは,バラでも購入できる。
ケーキが並ぶショーケースの下方には,店名・創業年が刻まれたプレートがある。これも手づくりで,常連客の方からいただいたとのこと。
「お菓子作りは,今でも試行錯誤で正解はない。そういうふうにやってきたが,今もこうしてやってこれている」と幸子さんは語る。そのミラベルは,気がつけば今年で33年も続いている。
今日も,幸子さんのケーキを求めて,お客さんがまた,お店に訪れる。
(※駐車場は,この看板がある側に,普通車で3台程度駐車可能)
【店舗情報】
ミラベル
開店時間:午前9時~午後8時まで
定休日:日・祝日
住所:〒737-2122 江田島市江田島町中央1丁目5-2
電話番号:(0823)42-0038
代表者は宇根川千里(ちさと)さん。
昭和22年に,父・豊さんによって創業される。当時は,生活雑貨・家具・建材等扱っていたが,現在は陶器・生活雑貨・ガス等に,時代と共に変わっていった。
1985年に店舗を新しくするときに,ミラベルができた。
ミラベルでケーキ作りをしているのは,宇根川幸子さん。
「雑貨のなかに,ケーキ店を入れるのはどうだろう」と幸子さんは考えた。陶器を主とした生活雑貨の中に,ケーキ店があるのもいいのではないか。
ケーキを食べるのにふさわしい,おしゃれな食器が,同じ場所で買える。そういう空間をつくるために,陶器店のなかにケーキ店がある。食べることと,その暮らしが,一体となった店づくりだ。
陶器から雑貨まで,幅広い品揃えで構成された売り場の理由が,確かに伝わってくる。
輸入菓子も,その一角に彩りを添えている。中でも海外産のキャンディがよく売れている。
偶然店頭で見て「東京にしかないと思ってた」と,買っていったお客さんもおられるとのこと。ネットで情報を知ったのだけど,と電話で問い合わせが入ったりもする。
宇根川豊商店,ミラベルのいずれも,ホームページやブログを運営していない。しかしながら,どこからか情報を聞きつけては,こうして電話をかけてくる人もいる。
今回の記事を読まれて,見たことのない,気になる商品があった,と思われる方はぜひお店に足を運んでみてはいかがだろうか。
【店舗情報】
宇根川豊商店(ミラベルと所在地等同じ)
開店時間:午前9時~午後8時まで
定休日:日・祝日
住所:〒737-2122 江田島市江田島町中央1丁目5-2
電話番号:(0823)42-0038
国道487号線を隔てて,大柿郵便局の斜向かい。
防球ネットの向こうから,ゴルフボールの小気味よい打球音が聞こえてくる。
ゴルフ練習場,バッティングセンター,きまぐれ亭の看板が並ぶ。
大型娯楽場が少ない島内において,年中無休の存在は貴重だ。
「年中無休は,社長の意向なんですよ。お客さんがいつでも入れるようにと」
株式会社堀栄企画が,ゴルフ練習場・バッティングセンターのHORIEIスタジアムを経営している。
堀栄企画専務取締役の向井さんに,お話を伺った。
住宅からは距離を取ってあるため,思う存分,気がねなくバットもクラブも振れる。
気候のよい5月の昼下がり。この日も,年配の男性がプレイを終えて外に出てくると,また別の常連客がゴルフバッグをさげて店内から練習場へと入っていった。
「平日は,十数人くらいですね。日中は地元の,高齢で常連の方が多いです。仕事帰りには若い方も来られます。週末や連休になると,たまたま看板を見て立ち寄ったという方もいらっしゃいます」
ゴルフ練習は1ゲーム350円,コイン1枚で50球打てる。バインダーにコインは5枚付いてるが,使った分だけ支払う。ゴルフ用具を持っていない,手ぶらで寄ってみた人にはクラブ1本100円で貸し出しをしている。
その他に利用料金として施設使用料200円,プレイ終了時点で屋外に照明が入った場合は,夜間照明料200円がつく。
バッティングの場合は,穴あきでないコイン1枚300円,25球。 (写真は3枚だが,実際には1ゲーム試しにやってみて,その人の予算とペースに応じて追加する)
――大柿町でバッティングセンターといえば,以前は大柿中学校の付近にあったのでは。
「スタジアム自体はいまの場所に移って,28年くらいになります。大柿中学校の前にあった頃はゴルフ無しで,バッティングのみでした。隣で喫茶店「ファルーカ」をやってました。新宮八幡宮の秋祭りのときには,ファルーカで,おでんを出していて好評だったようです」
旧HORIEIスタジアムのあった場所には現在,住宅が建っている(写真左側が大柿中学校で,その向かい側)。
「旧所在地のころを知っていて,懐かしいので寄ってみたと,お子さんと一緒に来られた方もいらっしゃいますよ」
昭和から平成へと移り変わり,場所も少しだけ移動したが,地元に愛されるスタジアムは今日も変わらず,営業している。
【店舗情報】 HORIEIスタジアム
年中無休 午前9時~午後8時まで
(※ゴルフ練習は午後7時30分を過ぎると受付締切。7時30分で他に利用がなければ閉店する場合あり)
住所:〒737-2213 江田島市大柿町大原1086-3
電話番号:(0823)57-5711
現在のHORIEIスタジアムの隣には,うどんや定食などが人気の「きまぐれ亭」がある。
バッティングセンター移設時から既に飲食店も併設していたが,平成21年6月に今の「きまぐれ亭」として開店した。
こちらも堀栄企画の経営だが,HORIEIスタジアムは堀栄企画の社長の堀さん,きまぐれ亭は堀さんの妻とその娘さんたちでやっている。
2店舗兼用の駐車スペースが手前にあり,普通車で12台駐車可能。
カウンターにならぶ惣菜,冷奴などの単品メニュー。下段のむすびは,うめ,鮭,昆布から選べる。
窓際のカウンター席は8席。入口付近のテーブル席が6席。奥の座敷に10席。
大柿高校の学校だより「柿高NEWS」が毎号,ラミネートで丁寧に綴られ窓辺に置かれている。
奥の座敷は当初畳敷きのみだったが,高齢の利用客に配慮し,現在は掘りごたつ式になっている。
これも社長の提案だそうで,さりげない心遣いが感じられる。
うどんは赤字表記の通り,ダブル注文可。単品・ダブルともにリーズナブルな価格設定だ。
定食につく「本日のおかず」は,2週間ごとに変わる。この日は厚揚げのミートあんかけだった。
本日は「うどん定食」を注文。かけうどんにはネギと天かすを,好みでいただく。
手づくり,できたてのおいしさが,このボリュームで税込780円なのだから,お得だ。
昼時は近隣の職場から訪れる利用客が多い。日替わり,うどん定食がよく出る。
2年前,江田島に別件で取材に来られたテレビ新広島「ひろしま満点ママ!!」のレポーター(ボールボーイのおふたりと浅田真由さん)が立ち寄られた際の色紙が,店内に飾られている。
夏バージョンのメニューには,冷やしうどん,ぶっかけが仲間に加わる。
暑い時期に,きまぐれ亭を訪れたら,ぜひともトライしてほしい。
【店舗情報】 きまぐれ亭
開店時間:午前11時~午後2時30分まで
定休日:日・祝日
住所:〒737-2213 江田島市大柿町大原1086-3
電話番号:(0823)57-5711(※HORIEIスタジアムと同じ)
HORIEIスタジアムに入ると,ゴルフ用具のショーケース上に,呼び出しベルが置かれている。
堀栄企画の事務所が隣にあり,デザイン中の柿浦小学校の横断幕を見せていただいた。
平成30年度児童会年間テーマには「柿浦史上最高の1年を」とある。
児童数減少のため,柿浦小学校は平成30年度を最後に閉校,2019年4月からは同町の大古小学校と統合する。
この横断幕は運動会などの一時的なイベント用ではなく,年間を通して飾られる。
横断幕は大型のプリンターで印刷する。素材は布ではなく耐水性で,屋外でも使用できる。
他にも現在,JR広島駅南口の高層複合施設「BIG FRONTひろしま」用の看板や横断幕を製作中だ。
看板や横断幕以外にも,江田島や呉の漁船の側面にシャークマウスを描くペインティングも手掛けたとのこと。
風景の中に溶けこみ日常となっている看板や横断幕に,向井さんが作られたものが,きっといくつもあるのだろう。
【店舗情報】
株式会社 堀栄企画(屋外広告業)
住所:〒737-2213 江田島市大柿町大原1086-3
電話番号:(0823)57-4477(代)
ありがとう!能美ロッジ!
3月29日の宿泊を最後に閉館。
1967年に能美島のシンボル的存在としてオープンした「能美海上ロッジ」。国内では珍しい海の上に建つ公共の宿として親しまれてきました。
しかし、この3月での閉館が決まり、残り営業日も僅かとなりました。
長瀬海岸のすぐ側ということもあり、夏は海水浴のファミリーやマリンスポーツのお客様などで一杯。
その他のシーズンも島に宿泊施設が少ないこともあり、観光客から仕事などで来島される方まで多くの人々が宿泊されてきました。
長瀬海岸(ヒューマンビーチ長瀬)からは白く眩い姿。 |
まさしくオーシャンビュー。そして海の幸を堪能。 |
島内の人々からは「能美ロッジ」「ロッジ」と呼ばれ、会社や団体の各種宴会や親戚等が集まっての法要、普段のランチなどで利用した方も多いかと思います。そして、江田島湾を望む源泉掛け流しの温泉も人気でした。
海を眺めながらの食事。様々な工夫を凝らしたランチも。 |
とろりとして濁りのある天然温泉。もちろん窓の外は海。 |
惜しむ声は多数寄せられています。
私自身も毎年初夏にロッジで宴会をしていたのですが、今年からどうしたものかと悩んでいます(*_*)
温泉好きでロッジ通いの知人も、無くなるのを本当に残念がってます(T_T)
とはいえ耐震問題・施設の老朽化という諸事情もろもろあっての閉館。残念ではありますが、この地域が再開発され素敵なものになることに期待ですね!
多くの人々にたくさんの思い出を作ってくれた能美ロッジ。残り営業日数はわずかです。最後にもう一度ロッジを楽しみたい方は、お早めに!
本来は24日の宿泊を最後に閉館予定でしたが、3月7日に数日の追加営業が決まりました。25日~29日の宿泊・宴会のご予約は、まだ間に合うかもです!?
http://www.qkamura-s.com/noumi/
さようなら!能美ロッジ!
ありがとう!能美ロッジ!
(追伸)
能美海上ロッジの閉館に伴い、沖美町にある季節営業の「サンビーチおきみ」が、通年営業となります。こちらは夕日と潮騒が素敵な宿です♪
20年の時を超え、リニューアルオープン!
人々が集い、笑顔がこぼれる島の喫茶店。
江田島市沖美町の三高港の正面、三角屋根の可愛い建物。
長年に渡り閉まっていた『喫茶 渚』が、20年の時を経て、昨年8月に『かふぇ渚』としてリニューアルオープンしました。
現在、お店を切り盛りするのは、前マスターの息子さん夫婦です。
「最近流行の老老介護で、島に来ましたわ」と笑いながら話してくれました。
そんな新マスターが目指しているのはあくまでも”喫茶店”。
「近所のおばちゃんやおじちゃんも、ゆっくりできる店になればええなぁ」とマスター。
リニューアルオープンにあたり、改装された店内は、ナチュラルテイストでシンプル。そしてバリアフリーで開放的。居心地の良い空間です。
しかも、店内のイスとテーブルは、「喫茶 渚」時代のものをそのまま使用。
密かなレトロ感も、魅力のひとつです。
マスターの人柄がにじみ出た、温もり溢れた店内です。
コーヒーは、サイフォンで入れる本格コーヒー。やはり味と薫りは格別。
マスターが優しく愛情たっぷりに入れてくれます。
その横でテキパキと働く美人ママさん。素敵なご夫婦です♪
喫茶店の定番といえば、やはりモーニング。
美味しいコーヒーに、マスターこだわりのトースト、サラダと卵がセット。
ランチメニューは、焼肉定食、ハンバーグ定食、カレー、ハヤシライスなどなど。
栄養バランスもばっちり。
みんなが集り、笑顔になれる場所。みんながほっと一息つける場所。
マスター&ママさんとだけでなく、お隣の席の方とも会話が弾みます。
まるでリビングにいるような雰囲気。オープン以来、若い人からお年寄りまで、ファンが急増中です♪
ライブやトークイベントなども開催され、交流の場としても活躍する『かふぇ渚』
今や島の人気スポットです。
かふぇ 渚(なぎさ)
住所:広島県江田島市沖美町三吉2717(三高港向かい)
電話:0823-47-0016
営業時間:7:00~15:00
定休日:火曜日
(火曜が祝日の場合は営業、翌日休み)
駐車場:あり
島のパン職人として20年目に突入
進化を続ける『ぱん ひふみ』
2017年9月にオープンした『ぱん ひふみ』。開店から半年といっても、実は、オーナーである大下さんの島でのパン屋さんとしての歴史はもう20年目に突入しています。
その歴史の始まりは、大柿町飛渡瀬の『ぱんのみみ』。9年間営業していた人気のパン屋さんでした。そして、ゆめタウン江田島店への出店オファーを受け、場所を移し『エスク』と店名も変更。このお店も10年間も続いた大人気店でした。
しかし、2017年の6月この『エスク』を閉店。そして、同年9月、もとの『ぱんのみみ』の場所に戻り、『ぱん ひふみ』という新しい名で大下さんの3店目がスタートしました!
人気も立地も抜群だった『エスク』をあえて閉店させて、新たに再スタートされた理由を、大下さんに伺ってみました。
大下さんが出店契約した時にはゆめタウンにも定休日があったそうです。しかし、契約後すぐに365日無休となり、10年間全く休みが無かったというのが、1番の理由だそうです。
高熱だろうが、ぎっくり腰だろうが、どんな日でもパンを焼かなければいけない状況は、肉体的にも精神的にもきつい日々。「お陰で鍛えられたけどね」と笑って話す大下さんのタフさには感動です。
そして、このたび10年ぶりのお休み、約3ヶ月の長期休暇を取り、心身ともにリフレッシュされての再スタートに至りました。
『ぱん ひふみ』の開店に際しては、より美味しいパンを焼くために、今まで築きあげてきたすべてのレシピを見直ししたそうです。
エスクの時と比べると、お店のサイズが小さく、大下さんお一人で切り盛りされているため、品数は減りますが、厳選されたバケットや各種菓子パンが並びます。
もともと自家製酵母で丁寧に作られているのですが、さらにこだわって作られたパンは、口の中で溶けていくようで、とてもなめらか!
冷凍パンを焼いて出すお店が増えている中で、どこまでも自家製酵母の”生きたパン”の味にこだわって作られたパン。その旨味がわかりやすい食パン、バケットやバターブレッドなど、シンプルなパンが大下さんのオススメです。
特に宣伝等はしていないとのことですが、この日も、こだわりのパン目当てのお客様がたくさん来店されていました。『エスク』のときの常連さんも変らずお店に足を運んでくれているそうです。
「時間にゆとりができたから、もっとこだわってパンをつくれるよ 」と嬉しそうに話す大下さん。
パン職人が本気で生み出す極上パン、目が離せません!
ぱん ひふみ
住所:江田島市大柿町飛渡瀬364-1
電話:0823-57-7262
営業時間:9時~17時
定休日:毎週月曜日
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