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《ETAJIMA Fan Info》
2023年3月,大柿町大君に「BYUCCA glamping-ビュッカグランピング」が誕生しました。
江田島市内では2番目のグランピング場です。
同敷地内に社屋を構える,アパレルブランドaquagarage(アクアガレージ)がプロデュース。撮影スタジオ“Pinto”,ワーク&カフェ“yohac”を擁する,複合施設“Sugos”のひとつです。
▲深い藍色に沈む,薄暮の時間帯。
早瀬大橋を背景に,幻想的な雰囲気のライトアップ。色彩の妙が,異国感,非日常の空間を演出します。
今回の江田島ファンネットでは, Pinto,yohacの様子と共に,その魅力をお届けします。
(※取材及び写真撮影時期はグランドオープン前の2月で,完成後の現在と同じでない箇所もあります)
・お話を伺った人:有限会社伊勢屋(いせいや)コンサルタント 代表取締役 山下真由美さん
1989年創業の建設コンサルタント会社。
2000年代後半から,雑貨や衣料を扱うEコマース(電子商取引)へ事業展開。現在は,レディースアパレルブランド「アクアガレージ」を経営。上質・低価格,トレンドを取り込んだベーシックな商品で人気を博し,ローカル局の情報番組から全国ネットのテレビドラマ,映画などにも,衣装協力を行う。
・聞き手:江田島ファンネット
※記事内の写真提供…アクアガレージ(△のみ江田島ファンネット撮影)
△1階はSugos部分の撮影スタジオとカフェ,会議室など。2階はアクアガレージ新社屋。
一般的な企業から連想するような硬質さは無く,古くからの友人宅を訪れたような温かさが印象的でした。
△取材中の一コマ。バーバパパをモチーフにした5号棟「ANNETTE」の前で,山下代表取締役(写真左)。
気さくで親しみやすいお人柄ながらも,情報量の深さ,先見の明に,驚かされることが多かった取材となりました。
(写真右:江田島ファンネット・吉田)
「Sugos」の由来
△昨年撮影した,江田島ファンネット公式YouTubeチャンネルの動画「大柿町大君 県道121号線(大君深江線)の桜」からの一場面。
並び立つフェニックス(ヤシの木)の奥側が泉公園。広い砂地にカラーコーンが点在するこの光景も,今は過去のものになりました。
――早瀬大橋の下は,泉公園からの眺めは良いものの,周りに何もない状態でした。
複合施設Sugosや新社屋を,この地に決めた経緯をお聞かせください。
山下「能美町にあったアクアガレージの旧社屋が手狭になり,商品撮影と会議が重なると場所が取れず,業務に支障を生じた時期がありました」
しかし江田島市内に賃貸オフィスは無く,近隣の方から紹介された物件を検討したものの――。
山下「耐震問題や,私の思いと違って「海が見えない」など,条件が揃うところが無くて」 そうした中,経済産業省の事業再構築補助金へ応募したところ,採択され,本格的に事業拡張へ動き出すことに。
(※事業再構築補助金…新分野展開や業種転換などの大きな事業再構築を図る中小企業・中堅企業・個人事業主などを支援するための制度。コロナ禍における経済社会の変化に対し,日本経済の構造転換を目的に創設された)
海が見える,江田島市らしい立地を探すも,ビジネス目線で考えると,海が見えるだけでは条件が難しい。
その後,江田島市の協力もあり,泉公園の横を借りることができて,現在に至ったのだそうです。
山下「但し,すごく広すぎて。1500坪の中で我々が使いたいのは,僅かな規模なんです」 キャンプ場の着想は,余った土地の活用方法を模索する中で,生まれました。
しかし昨今では時流にそぐわず,キャンプ場立て直しが増えている――。専門家の方からの助言を受け,グランピング一択で方向性が決まりました。
――初めからグランピングではなく,もともとはオフィス,スタジオありきが出発点だったんですね。
山下「スタジオが要る,会議室も要る。でもどうせなら,皆さんが気軽に利用できるカフェみたいなスペースも作りたい。
うちのスタッフだけじゃなく,オープンな場所にしたい意味もあって。
みんなにここで過ごしてほしいなという思いから,「Sugos(すごす)」っていう名前がついてるんです」
△Sugosエントランスにあるフロアガイド。
温かい色調と,寄木細工を思わせる案内板は,見た目にも楽しい,おもてなしを感じる意匠となっています。
――Sugosの各施設について,名前の由来を教えてください。
山下「ワーク&カフェyohacは,頭を真っ白にして少し考えごとや,ぼーっとするとか,そういう意味合いも「余白」かなと思って。
スタジオPintoは,ピントを合わせるみたいな可愛い語感に。ロゴマークは,絞りのデザインのピントですね。
BYUCCAっていう名の由来は,イタリア語のBACCA(バッカ)という言葉で,英語でberry(ベリー)。
瑞々しい果実,そういうベリー系の果実のことを指すみたいで,バッカとビューティーの造語です。
体も心も瑞々しく,リフレッシュして帰ってもらいたい,そんな意味を込めています」
――それぞれに詰まった思いが深くて,素敵ですね。
山下「女性は常に,何歳になっても,心は28歳らしいんですよ。社会人になって,恋愛して結婚してるかもしれないし。一通りの,楽しい人生を味わった時期なんですね,28歳というのは。
Sugosは,50歳の人も60歳の人も,28歳になれる場所です」
▲インタビューはSugos1階の会議室にて。薪ストーブやデンマークインテリアのセンスの良さが目を引きます。
『こんなにいい場所だったんだね』
――今回の事業拡張に着手するよりも前,ここを通られた時などに,場所の印象などありましたでしょうか。
△動画「大柿町大君 県道121号線(大君深江線)の桜」の,別シーン。切り立つ岩肌が連なり,その先の深江側には,採石場があります。
山下「長浜海水浴場の先に採石場があって,(会社の業務の関係で)ここを通っていました。それ以外は,特に印象が無かったんです。
でも今は,多くの方が来られるようになって『こんなにいい場所だったんだね』と,皆さん言われます。
50代,60代の人に聞くと『ここはいつも遠足のコースだった』とか。もっと前の世代では『ここに遊園地があって』『子供の頃,ここに来るのが楽しみだったんだよ』と仰る方もいらっしゃいます」
――遊園地の話は初めて聞きました。昭和から平成を経て令和の時代にまた,活気が戻ってきた感がありますね。
山下「本当にいいところですよね,橋の下って。すごく,わくわくするところです」
△呉市で発行されている情報冊子「海洋彩都」no.57(2014年10月号)から。
特集「昔なつかし遊び場ばなし」から,遊園地「早瀬ファミリーランド」に関する記事を発見。
現在ここはオリーブ畑になっているとのこと。
1970年代には,レストランを備えた海上ホテルまであった早瀬大橋周辺。令和のいま,時を経て,再び賑わいのある場所となりました。
今後のアクティビティについて
山下「暖かくて,特に朝が気持ちいいから,出社したときがすごくいいんです。背中が熱くて,今もエアコンつけていないんです」
――冬なのにこんなに暖かい,日当たりがいいですよね。
△南側に面した建物の採光部。広々とした立地ならではの好条件です。
この日は,最高気温10度未満,風も強い天候でしたが,新社屋内や,後で紹介するグランピング施設も,エアコンなしでとても暖かく過ごせました。
山下「グランピングのお客さまにはぜひとも,朝ヨガは経験してほしいですね。そして,マダイの全国有数な釣りスポットらしく,フィッシングもアクティビティとして取り入れたいです。後は,たいやき作りとかも(笑)」
――かわいいですね。
山下「ここにちなんだ美味しいアクティビティがやりたいなと。あとは,レモンスカッシュ作りとか。
早くチェックインをされる方が多いみたいで。3時からなのに,お昼にはもう着いているという場合です」
――市内の他の宿泊施設でも,早く到着される方が多いと,話を聞いています。
山下「時間を持て余して,過ごし方に戸惑うんです。でも夕食も近いし,山に登ったりするのも,なかなか時間が取れないでしょうね。
また,能美町にコーヒー焙煎の方がいらっしゃるので,指導を受けて,コーヒーのロースト,ミル作りも考えています」
――鹿川のCoffee Roast Sereno(コーヒー焙煎の店)さんですね。ここでも出来るようになると。
山下「他にも,マリンアクティビティでは,アウトリガーカヌーとか。そのあたりはいま,長浜海水浴場さんと契約したところなんです」
スタジオPinto
△アクアガレージのホームページなどへの掲載商品を撮影する自社スタジオ。
一般利用可。スタジオ貸切や撮影代行サービスも行う。
――明るくて,光が柔らかい感じですね。商品写真だけでなく,ポートレート撮影にもいい場所ですね。
山下「人工光でも勿論,明るさは足せるんですけど,やっぱり太陽の光を超えるもの,代わるものは無いですね。自然光だと,影が柔らかく写るんですよ」
▲(画像はアクアガレージHPより)肌や生地の質感が十分伝わるのは,撮影機材,技術と,自然光の特性を活かしたこのスタジオならでは。
ワーク&カフェyohac
※メニューや営業時間などの最新情報は、こちらをご覧ください。
△電源,WiFI完備の室内は,ワーケーションにも最適。窓外の景色を眺めながら,清閑な雰囲気で島時間を堪能できます。
山下「カフェとランチで,ホットサンドとかの軽めの食事になります」
△Sugosをイベントなどで利用される方向けの食事を,ここで提供する場合もあるそうです。
突撃!隣のすごいオフィス
山下社長のご厚意により,一般の方は入れないアクアガレージのオフィスに案内いただきました。
階段を上がると,そこには……。
――明るくて窓が多いというか,壁が少ないですね。ほぼ「外」で,暖かい。
△オフィスに続く廊下から窓外の景色。右手前がスタジオPinto,後方に5つのドームテントが並びます。
モントリオール万博博覧会アメリカ館や,かつての富士山頂レーダーでおなじみの形状は,フラードーム(ジオデシックドーム)と呼ばれる構造。アメリカの建築家バックミンスター・フラーが考案。頑丈で荒天に耐える仕組みを持ち,ドームハウスやグランピングテントなどに採用されています。
△アクアガレージオフィス。遠くに海を眺めつつ,採光たっぷりの室内。「いいですいいです,光が」(江田島ファンネット・吉田談)。
採光と適温を両立した,過ごしやすい空間がそこにありました。
各ドームの魅力をたっぷりお届け、後編へと続きます!