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《ETAJIMA Fan Info》
今回は,三高中学校3年生制作の「江田島市地域活性化プロモーション動画」を紹介しています。三高港から天狗岩までの前編はこちら。後半は,「島の駅 豆ヶ島」からスタートです。
天狗の次は鬼。大柿町飛渡瀬の徳永豆腐直売店「島の駅 豆ヶ島」に,やってきました。
豆ヶ島名物の豆乳ソフトクリーム,大豆うどん。 そして江田島オリーブファクトリーのピザ。美味しい食べ物は,人を笑顔にしますね。
カキの名産地で,むき身作業に従事される作業場の皆さん。ここでの笑顔も素敵です。
そして,これを起点に始まる,カキに関連した映像のなかにも,2つめの見せ場があります。
殻付きのカキを焼く場面にかかる「この牡蠣と特産品で」のテロップは,江田島焼の沖山工房に重なります。
ろくろを回しているのは,陶芸家の沖山(おきやま)さん。オータムフェア江田島,まるとくフェア,フェスティバル江田島など,市内のイベントでも人気。江田島産カキ殻使用の釉薬で作った食器は有名で,2019年11月には,NHKテレビ『小さな旅「牡蠣島の秋~広島県 江田島市~」』にも取り上げられました。
プロモーション動画の歌詞「この牡蠣と特産品で」によって,焼いて食べる殻付きカキから,陶器づくりのカキ殻へと,つながる流れが見事です。
テロップのこの歌詞は,動画には出演していない,女子生徒2名,男子生徒1名による作詞で,BGMの作曲も行っています。音楽科担当の藤山先生が作曲を指導されました。
作詞・作曲については,動画で活躍する5人のヒーローの関係性やキャラクター設定を考えてから,取りかかったそうです。言葉のなじみ方や,韻を踏む工夫,そして江田島市の活性化につながるように,丁寧に歌詞が作られました。
考えた歌詞のところから,音をあてはめていくという方法で作曲しましたが,実際に歌ってみると,雰囲気が違う,しっくりこない……と,もう一度作り直しをすることに。妥協をせず,納得いく形で完成させた2回目の曲が,今の動画に至っています。
また,三高中学校は,第84回NHK全国学校音楽コンクールの広島県コンクールにおいて,銅賞を獲得した実力校です。小中合唱交流や江田島市中学校合唱祭への参加,プロによる合唱指導など,技術向上にも意欲的です。
その成果は,3年生が歌った,この動画で聴かれる通りで,郷愁を呼びおこす歌声は,日頃の練習から生み出されたものです。
※動画に使用された曲「ここにおいでよ!」の歌詞は,三高中学校のホームページ内で見ることができます。 歌詞に登場する「エタジマン」とは,この5人のヒーローなのです!
そして3番目の見せ場は,江田島市内最大の,大柿町深江地区オリーブ農園です。
約6.6haの栽培面積に,植栽本数は約2800本。令和元年度の収穫量は約2トンを記録。江田島市が市有地を整備したこの農園は,2011年6月から造成工事開始,2014年3月に完成しました。
RCCテレビの番組「元就。」で,2016年9月に放送された江田島特集でも,この深江地区オリーブ農園が登場しました。
[RCCテレビ「元就。」ホームページ バックナンバー2016年9月4日(日)]
市有地につき普段は入ることができないため,動画で見られること自体が貴重な場所でもあります。
撮影には,江田島市地域おこし協力隊・オリーブ栽培技術指導員(当時)の小山内さんが同行。大柿市民センターにて,オリーブ冠づくりも指導されました。
(オリーブファクトリーと,農園でのシーンに,それぞれオリーブ冠が出てきますね)
2019年NHK杯国際フィギュアスケート競技大会など,国際的な舞台で,江田島市のオリーブ冠を見かけることも多くなりました。官民一体となって取り組んできたオリーブ振興が,着実に進んでいる証と言えるでしょう。
オリーブ農園でのロケ日は,あいにくの雨模様でしたが,皆が笑顔で,元気よく駆け回る姿が印象的です。
動画制作にあたっては,ロケ先に1件1件アポ取りを行い,中にはこのように天候に恵まれなかった日もあったりと,笑顔の撮影の裏側には見えない苦労と努力があったことが窺えます。
そしてカメラは再び海へ。人気上昇中のマリンスポーツ,SUPです。穏やかな海は, SUPが初心者でも楽しめる環境として,広く知られています。
大柿町大君のビーチ長浜で,座った状態で1人を載せて,もう1人が漕ぎだす,複座SUPとでも呼べそうな難しい技に挑戦しています。イカダからSUPでテイクオフは,なかなか思いつかないユニークな発想ではないでしょうか。
海面にきらめく陽光と遠景の島影が生みだす情景が美しいシーンですが,やはり海での撮影のため,苦労されたそうです。
プロモーション動画を制作する前,クラスで話し合ってみると「自分が江田島市に住んでいながら,この島のことをよく知らない」「住んでいるのに,行っていない場所もある」ことが分かったそうです。今まで行ってみて良かった場所を情報交換し,ロケ場所について,多くの候補をピックアップ。
外に向けて発信する目的を皆で持って,撮影地が選ばれました。
カキの養殖風景など,ここから続く静止画の写真は,元広島市立安佐南中学校校長で,現在は一般社団法人二科会写真部会員の平野良雄(ひらの よしお)さんからの提供によるものです。平野さんは,2017江田島市夕景フォトコンテスト(江田島市観光協会主催)において,夕暮れの海に投げ釣りのシルエットが見事な作品「夕陽に向かって」で,金賞を獲得されています。
沖美町の夢来来(ゆめきらい)からの眺望や,切串おかげんさんまつりなど,市内のとっておきの瞬間が,見る人の心に深い感動を残します。
動画は,旧サンビーチおきみから変貌を遂げた,沖美町の新ランドマーク・Uminos Spa & Resort(ウミノス スパ&リゾート)でラストを迎えます。
Uminosは,旧サンビーチおきみから2019年7月にリニューアルオープン。瀬戸内海の展望と夕日が楽しめる客室は,全室オーシャンビュー。国産ブランド和牛のグリルに,島ならではの海の幸。冬場には新鮮な焼きガキを堪能できるカキ小屋も期間限定開店。食べてよし,泊って見てよしの宿泊施設です。
このプロモーション動画を振り返ると,三高港から始まり,ラストにこのuminosがおかれたことは,大きな意義があると感じます。
三高港の新旅客ターミナルは,2020年8月から利用開始予定。一方のラストには,新生サンビーチおきみ=uminosがあり,現在も変化を続ける江田島市の象徴的なランドマークです。
動画内で巡ってみせた市内の各スポットは,単なる名所紹介ではなく,過去から現代に至るまで,江田島市が駆けぬけた時間そのものを内包しています。
そこへ次世代への橋渡しとして,これからの未来を担う5人の若きヒーローが現れたことには,もっと注目してもいいはずです。
前述の,オリーブ農園での撮影に同行した小山内さんによると,動画に出演した三高中学校3年生の5名の生徒は「大人になってもこの島に残りたい」と,感想を話していたことが印象深かったそうです。
郷土を大切に思う気持ちがあるからこそ,この動画には,見る人を振り向かせる,惹きつけるものがあったに違いありません。そして,総合的な学習の時間や合唱コンクールの取り組みなどもあわせて,地域活性化プロモーション動画制作において,三高中学校は最適の環境が整っていたと言えるでしょう。
4分12秒の再生時間に凝縮された,3年生の思いと足跡を,あらためて,じっくりと味わってみてはいかがでしょうか。
(2020年5月~6月取材)
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【学校情報】江田島市立三高中学校
住所:〒737ー2316 広島県江田島市沖美町三吉2699
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FAX:(0823)47-0126
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